はじめに
アイホンのマンションインターホンシステムで省線化したシステムでVDXシリーズがありました。
1985年から1990年ごろまで作られていたようです。
ですのでVDXシステム自体が活躍していたのは約40年くらい前でしょうか。
ずいぶん古いものですでに新しいものに交換済みの所が多いとは思います
今回はこのVDXシリーズを見ていきます。
おねがい
正確な情報を心がけていますが、間違った内容が含まれている可能性がありますので、予めご了承ください。
個人的興味の元、ブログを書いております。参考にされる際には自己責任にてお願いいたします。
このブログを参考にしたら機器が壊れたや、接続方法がわからない・動かないけどどうしたらよいなどの苦情や質問などをいただきましても対応できませんのでご了承ください
ここで紹介している機器は製造終了から20年30年を過ぎたものばかりです。修理して少しでも長く使いたいと言う気持ちはわかりますが、壊れている場合は現在販売している製品への取替をお願いします。
VDXシリーズを見てみる
VDXはこの前の世代のVBMのように、各住戸からの配線が別々に制御盤へ接続されるのではなく、制御盤からの配線が各住戸アダプターを渡っていく省線式の方式でした。とは言えども5Prの配線が必要でした。
住戸の部屋番号のアドレス設定が現在は住戸内のインターホン親機での設定ですが、住戸内親機では無く住戸アダプター(VDX-RU/A)もしくは、ドアホン(VDX-DT/E・VDX-DK/E)にアドレス設定がありました。
カメラ付きの集合玄関機(VDX-DLM/B)もあったようですが、通話の制御装置(VDX-1L・VDX-3L)とは別に映像の制御装置(VDX-MC/A)も必要でした。また映像の配線は5C-2Vなどの同軸ケーブルが使われていました。各住戸ごとにテレビインターフェイスユニット(VDX-VU)も必要で同軸ケーブルの分岐をしています。住戸アダプタと電源と制御信号用の4芯も接続していました。
最終端のVDX-VUには75Ωの抵抗器を同軸を接続する出力端子へ挟み込んでねじ止めします。
住戸内の親機もモニター(MB-VU)は通話する居室親機(VCG-2GTD)とは別に設置されていて、分配された同軸ケーブルがモニターに接続されていました。
制御盤を見てみる(注意:動作している制御盤の、ふたを開けてはいけない!!)
このVDX制御盤は外装がグレーであったり、アイボリーであったりのバリエーションがあるようです。
今回はアイボリーの外装の物を開けてみます。(写真左)
カバーは上下に分かれていて、側面のユリアネジを緩めることにより、先に下部の端子台部のカバーが外れまして、上部の基盤側のカバーを外すことができます。(写真中央)
注意点としては、この上部のカバーを外すと制御盤の電源が落ちるように安全スイッチが取り付けられています。
写真右のなかの黒いケースの上にある白い筒状の突起です。
どなたかが保守されているとテープを張ってフタを開けても電源が落ちないよにされている場合もありますが、蓋を開けて電源が落ちた場合、蓋を閉めても電源が入らなくなる恐れがあります。
私は15年ほど前にフタを開けた時に電源基盤が壊れてしまい電源が入らなくなったことがありました。その時は辛うじて修理してもらうことができましたが、2012年9月30日で修理対応は終わっていますので、いまはもう対応してもらえません。
(キーンなんて音のしている制御盤で もし動いているのであれば、開けたらほぼトドメを刺すことになります。)
注意:動いている制御装置の上部のふたは開けない事!
電源装置は12Vと5Vの2電圧出力型の特殊なもののようです。
集合玄関機 VDX-D
集合玄関機は横270mm縦360mmのVDX-Dです。
集合玄関は通話のみでカメラは搭載されていないものです。
配線はCPEV-10Pで接続されていました。
居室内親機 IE-2ATD
住居内のインターホン親機でIE-2ATDです。
住居内から集合玄関の電気錠を解錠するためのボタンがあります。
ドアホンとは5芯で接続されていました。
AC100V電源が必要です。
VGXなどとは違いアドレス設定は居室親機では行いません。
ドアホン子機 VDX-DT/E
ドアホン子機 VDX-DT/Eです。
表面はスタイリッシュな面持ちで好感が持てます。
最近ではコストカットでこのような仕上げはしないかもですね。
制御盤からの配線は裏面左上の専用コネクタで5Pの配線を接続されます。
住居内親機はネジ式の端子台で接続します。
このシステムではカメラ無の集合玄関であり、警報機能も無いため5芯で接続されていました。
アドレス設定
このVDXのシステムは、アドレス設定を住戸内親機ではなくドアホン子機(VDX-DT/Eなど)、もしくは住戸アダプター(VDX-RU/Aなど)で行います。
さて、ここで問題です。
アドレス設定を「5と7」で行いました。
この部屋番号は何番でしょう?
「507号室」
正解です!なにを当たり前なと思われた人もいるかもしれませんが、このVDXに関してこの答のマンションは少数かもしれません。
「601号室」が正解!の方が実感としては多いのです。
資料も無いのでこの違いの見分け方はさっぱりわかりません。
部屋番号と設定内容を見比べてみるようになります。
ROMの設定にもよるのか詳しくはわかりませんが、設定表になぞらえて部屋番号を設定しているマンションが多く見られます。
そのためか部屋番号を記入する欄が設けられています。
その標準と思われる設定が独特なので資料を書き起こしてみました。修繕などで入れ替えするときなどで、このパターンの場合の参考になるかもしれません。
なおVEX以降の標準設定は直感的にわかる設定と思います。
参考までに番号の設定方法。~デジットピン~
注意:この作業は制御盤の電源を落とし基盤を抜いて行う必要があるので、動作しているものに行わないでください。
壊れる危険があります。
昔はこんな作業をして番号を変えていたんだな。と言う参考資料です。
VDXにおいて、集合玄関の解錠をするための番号設定は基盤に取り付けてある金属プレートを取り換えることによって行えます。
制御盤に取り付けてある縦長に基板を取り外します。
取り外した状態そのままだと、設定するときは上下反対にしないと数字が読めないので180度回転します。
この数字の書いてある金属プレートの事をアイホンでは単に設定用プレートと呼んでいますが、ここではデジットピンと呼びます。
緑色のタイマー設定用のソケットは、基盤のシルク印刷を見るとDP3。番号1はDP2。番号2はDP1と書いてあります。
DPはデジットピン(DIGIT PIN)の略と思われます。
この写真の状態を読むと、解錠設定タイマー時間は1と0(何も刺さないと0)で10秒です。
番号は3794となります。
数字は上側の読める方を読みます。
透明なカバーをかけると下側はすりガラス状になっていて中が見えなくなっており、上部の数字のみ見えるようになっています。
基盤の裏側からデジットピンのソケットを見るとピンの下側はすべて共通となっています。
デジットピンとはなんだ?? Digit Pin 桁脚
VDXの番号設定で出て来ましたデジットピン。
私は初めて見ましたが、この頃の機器には使われていたようです。
現在だとロータリーディップスイッチがその役割を果たしているのでしょうか?
写真左は直感でわかる番号設定で、現在主流のロータリーディップスイッチの一例です。
写真中央はデジットピンを外したところです。金属の板を加工して足を折り曲げています。
その昔、腕時計のバンドにカレンダーを印刷しているアルミ板を取り付けていたのを彷彿とさせます。わかる人いないかな、、、
写真の右はVDXに付属しているデジットピンの元の状態です。1本で1桁の数字を自由に設定するための連なった8個の小さなピンが入っておりこれの希望する数字を切り分けて使用します。この小さなピンの向きで2つの英数字のどちらかを設定できるものです。
VDXでは解錠時間タイマーの2桁と番号を4桁設定するので、合わせて6本のピンが付属されています。
このデジットピンよく見ると緑のICソケットのようなものの端にJAEと刻印されています。
JAEを調べてみると日本航空電子工業株式会社と出て来ます。
また、透明なカバーにも左下にJAEのロゴと右下にはPATの文字が確認できるので、この製品に特許権があるようです。
この度このブログでは後に出て来ます、ナショナルでの呼び名デジットピンで呼んでいますが、実際にJAEではどのような呼称だったのか知りたくてネット上を幾分か調べてみましたが、製品自体を見つけることができませんでした。
緑色のソケットとカバーには上向きを指示するUPの文字と矢印が刻印されており、カバーの下部はすりガラス状で中が見えなくなる工夫がされています。
Telecall 日本インターホン MF-20
日本インターホンのMF-20と言うインターホンにもデジットピンが使われていたようです。
設定する仕組みはVDXとほぼ一緒で、インターホン自体の局番号の設定で使用されていたようです。
ナショナル(National)テレホン96 VL-250A VL-251A VL-260A VL-261A など
ナショナル(松下通信工業)のテレホン96 VL-250A VL-251A VL-260A VL-261Aなどにも、内線番号設定用にデジットピンが採用されていたようです。
VL-250 1979年5月1日~1982年9月1日
VL-250A 1982年9月1日~2005年3月31日
ただし、この後継機種のVL-250AN (2005年1月~2006年12月月)では、デジットピンではなくディップスイッチに置き換わっています。
ナショナル(National)テレホン12 VL-270 VL-271 など
ナショナル(松下通信工業)のテレホン12 VL-270などにも、内線番号設定用にデジットピンが採用されていたようです。
VL-270 1982年9月1日~2003年9月30日
VL-270はすべてで12台までの親機を1つのボタンでダイレクトに呼出音を鳴らすことができます。
受話器を上げている2者もしくは3者での通話ができます。
配線の接続は1~4の端子の4芯で行い、電源装置 VL-712Aから+を1の端子-を4の端子に接続し、親機同士は1~4の端子を並列に接続します。
デジットピンは今までと違い、一つのピンで2桁の12番まで設定できるように回路が工夫がされています。
今まで見た機種は下のピンは4つとも共通だったところをそれぞれ独立して、左下の一番左のピンと上のピンの組み合わせで1~4番、左下の左から2番目のピンと上のピンの組み合わせで5~8番、左下の左から3番目のピンと上のピンの組み合わせで9~12番を表現しています。
基盤の裏の配線パターンを見ると使用しているピン端子が見て取れます。
VL-712Aインターホン電源部です。
電源を入れると内部のネオン管が点灯します。
DC12V 0.5A出力です。
デジットピンのまとめ
デジットピンは視覚で見て設定数字がわかる当時画期的な製品であったのではないかと思います。
欠点としては、設定変更の際に手元に変更したい数字のピン自体が無いと設定が変更できないという事です。ただし仕組みがわかっていれば細い配線などを使用してジャンパーすることで応急で設定することは可能かもしれません。
デジットピンの情報をまとめてみました。
さいごに
アイホンのVDXを中心に、この頃発売されていたデジットピンを採用した製品の一部を見て来ました。
このブログの内容が実際に役に立つことは無いでしょうけれども、昔はこんな製品や部品があったんだなと思っていただければ幸いです。
長文最後までご覧いただきありがとうございました。
2024/05/06/210913