- はじめに
- 注意
- 検電してみよう 〜模擬環境〜
- ブレーカーが落ちていて電気が来ていない状態なのに、活線の配線が並走したら誤動作するのか? 〜電気を落とした模擬環境に活線を追加〜
- 検電器の個別評価とAC200Vでの感想
- さいごに
はじめに
低圧用検電器を比べてみた (紹介編)でいろいろな低圧用検電器を紹介して来ましたが、実際に使うとどんな感じなのか模擬環境を用意して試してみました。
誤動作?についても実験してみます。
AC200Vについては写真などはありませんが私の使用感のみ触れています。
注意
実験では模擬環境での条件下での反応を見ていますので、実際の現場で必ずこの結果になるとは言えません。
購入した検電器の個体差によっては違う結果になるかもしれません。(個体差があっては困りますが)
今回の実験では分電盤・自立盤のように活線が密集している場所での使用とは結果が異なるかもしれません。
ここで紹介する検電器はごく一部のものです。世の中には多種の検電器が存在します。
購入を検討される際にはこのブログの情報を鵜吞みにせず、周りの実際に検電器を使用している方の意見なども聞いてみてください。
極力正しい情報をお届けできるように努めていますが、誤った情報がある場合があります。
万が一、感電や機器の破損、工具の破損などが起きましてもこちらでは対処できません。恐れ入りますが自己責任にてお怪我の無いようご安全にお願いします。
予めご了承ください。
主に交流のAC100V/200Vの検電を目的としています。高圧や車のDC12Vの検電などはお役に立てないと思われます。
検電器を使用する前には電池があるかチェックしましょう。
検電作業する前・後に既知の電源で動作確認をしましょう
言葉遣いとして非接地側(電源相やケッチ(ヒューズホルダー)側や直流になぞらえて+と呼ぶ人もあり)(L)に対して、接地側(器具にはWの刻印)(N)と呼んでいるようです。電源の接地側(中性線)と(保護)接地(E)は違いますので注意が必要です
(各用語リンクさせていただきました。ありがとうございます)
検電してみよう 〜模擬環境〜
模擬的に板にコンセントを設置してみました。
コンセント部分の緑色のランプが点灯しているとAC100Vが通電している目印となります。
下2つがAC100Vの配線用差込接続器(コンセント)となります。
ブレーカーを接続してコンセントを過電流から保護するとともに、電源を入り切り操作もします。
結果から言うと、どれもちゃんと動きました。
お時間ある方はこのまま読み進めてください。
お急ぎの方は 「ブレーカーが落ちていて電気が来ていない状態なのに、活線の配線が並走したら誤動作するのか?」へどうぞ。
共立電気計器株式会社(KYORITSU) KEW5711
・手で持って、コンセントの非接地側に検電器を当てるとブザーと赤ランプで正常に反応します。(電気が来ていると反応します)
・コンセントの接地側に当てても正常な動作で反応しません。(検電できるのは非接地側のみです、接地側は反応しません)
・通電を止めて検電器を当てても正常な動作で反応しません。(電気が来ていないと反応しません)
・通電状態で被覆線の上から非接地側に当たると正常に反応します。(電気が来ていると電線を剝かなくても、被覆の上から非接地側に当てるだけで反応します)
株式会社兼古製作所(ANEX) No.2145-L
・コンセントの接地側に当てても正常な動作で反応しません。
・感度スイッチを「L」合わせて、メタルプレートに触れないように手で持って、コンセントの非接地側に検電器を当てるとブザーと緑のランプが点灯し、正常に反応します。
・通電を止めて検電器を当てても正常な動作で反応しません。
・表示がわかりにくいですが、通電状態で感度スイッチを「L」合わせて、メタルプレートに触れて、被覆線の上から非接地側に当たると正常に反応します。
三和電気計器株式会社(sanwa) KD3
・スイッチを「LOW」に合わせて、コンセントの接地側に当てても正常な動作で反応しません。
・スイッチを「LOW」に合わせて、手で持って、コンセントの非接地側に検電器を当てるとブザーと赤のランプが点灯し、正常に反応します。
・通電を止めて検電器を当てても正常な動作で反応しません。
・スイッチを「HIGH」に合わせて、被覆線の上から非接地側に当たると正常に反応します。
超高感度誤動作?
最近ずっとKD3を使用しているのですが、感度切替をLOWからHIGHに切り替える中間点で止めてしまうと手持ちの個体だけなのかはわかりませんが、誤動作でHIGHに合わせて当てると反応するものから距離を離しても超高感度状態となるのか反応します。またHIGHで反応しなかったものにも反応するようになります。
HIGHからLOWに切り替えるときには発生しないようです。
使用する際にはスライドスイッチを検電目的に合わせて「LOW」・「HIGH」にしっかりと合わせて使用しましょう。
株式会社カスタム (CUSTOM) V-17
・スイッチを「裸」に合わせて側面の導電性ゴムに手を触れて、コンセントの非接地側に検電器を当てるとブザーと緑(AC100V)のランプが点灯し、正常に反応します。
・通電を止めて検電器を当てても正常な動作で反応しません。
・スイッチを「被」に合わせて被覆線の上から非接地側に当たると正常に反応します
長谷川電気工業株式会社 (HASEGAWA) HT-610α
・手で持ってコンセントの接地側に当てても正常な動作で反応しません。
・手で持って、コンセントの非接地側に検電器を当てるとブザーと赤のランプが点灯し、正常に反応します。
・通電を止めて検電器を当てても正常な動作で反応しません。
・被覆線の上から非接地側に当たると正常に反応します。
日置電機株式会社 (HIOKI) 3481
・手で持ってコンセントの接地側に当てても正常な動作で反応しません。
・手で持って、コンセントの非接地側に検電器を当てるとブザーと赤のランプが点灯し、正常に反応します。
・通電を止めて検電器を当てても正常な動作で反応しません。
・被覆線の上から非接地側に当たると正常に反応します。
ジェフコム株式会社 (DENSAN) SEC-901B
・本来手で持って検電するように説明書に書いていますが、コンセントの接地側に金属棒を差し込んでも正常な動作で反応しません。
・コンセントの非接地側に検電器を差し込むとブザーと赤のランプが点灯し、正常に反応します。
・通電を止めて検電器を差し込んでも正常な動作で反応しません。
・被覆線の上から非接地側に手で持って赤い樹脂のところが当たると正常に反応します。
検電動作まとめ
市販されている製品の動作としては当たり前かもしれませんが、どの製品も模擬環境での動作は正常で変わりありませんでした。
ブレーカーが落ちていて電気が来ていない状態なのに、活線の配線が並走したら誤動作するのか? 〜電気を落とした模擬環境に活線を追加〜
おそらく私が経験したと思われる誤動作?の起こる状態です。
テスターで電圧を測っても100V来ていないのに、検電器が反応する状態を模擬状態で再現してみました。
ブレーカーとは違う電源から引っ張ってきた電線と重ね合わせています。
先端には赤いランプを取り付けて、活線であることを表示しています。
共立電気計器株式会社(KYORITSU) KEW5711
・検電器を手で持って、コンセントの接地側・非接地側に当てても、電気が来ていないので正常な動作で反応しません。
株式会社兼古製作所(ANEX) No.2145-L
・検電器を手で持って、コンセントの接地側・非接地側どちらに当てても、電気が来ていないのに誤動作で反応します。
三和電気計器株式会社(sanwa) KD3
・検電器のスイッチを直接検電の「LOW」に合わせて手で持って、コンセントの接地側・非接地側に当てても、電気が来ていないので正常な動作で反応しません。
・検電器のスイッチを被覆検電の「HIGH」にわざと間違えて合わせて手で持って、コンセントに当ると、誤動作して反応してしまいます。
検電器のスイッチの合わせる場所を理解して使用する必要があります。
株式会社カスタム (CUSTOM) V-17
・検電器のスイッチを直接検電の「裸」に合わせて手で導電性ゴム持って、コンセントの接地側・非接地側どちらに当てても、電気が来ていないので正常な動作で反応しません。
・検電器のスイッチを被覆検電の「被」にわざと間違えて合わせて手で持って、コンセントに当ると、誤動作して反応してしまいます。
検電器のスイッチの合わせる場所を理解して使用する必要があります。
長谷川電気工業株式会社 (HASEGAWA) HT-610α
・検電器を手で持って、コンセントのどちらに当てても、電気が来ていないのに誤動作で反応します。ただし活線の状態の時と鳴るテンポが違い、ゆっくりと鳴ります。
※本来、感度調整を行い使用するべきところかもしれませんが、このような現象が起こったと言う状況をお伝えしています。
試験時の感度は、紹介編で調整した位置のままです。
日置電機株式会社 (HIOKI) 3481
・検電器を手で持って、コンセントの接地側・非接地側に当てても、電気が来ていないので正常に反応しません。
・検電器をこのタイプのブレーカーに活線状態で当てると、非接地側・接地側関係なく反応します。
ジェフコム株式会社 (DENSAN) SEC-901B
・検電器を手で持って、コンセントの接地側・非接地側に当てても、電気が来ていないので正常な動作で反応しません。
活線並走状態のまとめ
今回誤動作した検電器がありますが、検電したい電線が実際には電源が切れている状態でも、活線との静電誘導によって誤動作を引き起こす場合があるのではないかと推測されます。
実際の現場では、より複雑で異なる状況が起こります
その中で、どんな場合でも正常に判断できることが理想ではありますが、そうはいかないのが現実と思われます。
使う場面によってはテスターも併用しながら安全に作業を進めていく必要がありそうです。
検電器の個別評価とAC200Vでの感想
共立電気計器株式会社(KYORITSU) KEW5711
良い点:電池が大きい分、照明が明るい!反応時の音が明瞭で反応時の光も明るい。
先端がしっかりしているためコンセントに差し込みやすい。
悪い点:他と比べると、大きい。
AC200V:端子に接触させようと近づけただけで反応、感度が下げれると良いのだが。
さすけ評価:◯ AC100用 にぎやかな環境向き
株式会社兼古製作所(ANEX) No.2145-L
良い点:先端キャップが付属している。
悪い点:誤動作が多い。実戦には不向き。
この測定の時はスイッチをこれに合わせて、金属プレートは触るとか触らないとか複雑。
AC200V:感度を「L」に切り替えても近づけただけで反応。
さすけ評価:🙅 操作が覚えられません
三和電気計器株式会社(sanwa) KD3
良い点:反応が正確に感じる。ボリュームによる感度調整が不要。
悪い点:電源操作を含め、スイッチを目的に応じて切り替える必要がある。
検電表示は弱い。
AC200V:試験環境では思い通りの反応で間違いが無かった。
さすけ評価:◎ 初心者でも使いやすそう
ニューホース登場
株式会社カスタム (CUSTOM) V-17
良い点:直接検電「裸」では、比較的安定した動き。但し、直流検電は除く。
悪い点:電源操作を含め、スイッチを目的に応じて切り替える必要がある。
被覆検電「被」では感度ボリュームを回してもうまく設定できず反応してしまう印象。
AC200V:3相3線式の接触検電で、1本は200Vの表示が出たが、2本は100Vの表示。
さすけ評価:△ 安定感が、、、
長谷川電気工業株式会社 (HASEGAWA) HT-610α
良い点:反応する状況によって、誤作動としてもブザーの鳴動テンポが違うため、熟練すれば見分けがつくのかもしれない。
悪い点:検電器自体の電源スイッチが無いので、不意に反応することがある。
使用環境に応じてしっかりと感度調整することが必要。
ある程度の慣れが必要と感じた。
AC200V:被覆の上からはゆっくりと、端子に直接触れると早く鳴動する。
動作は安定しているように感じる。
さすけ評価:◯ 信頼関係を築いていく一本
検電器の定番
日置電機株式会社 (HIOKI) 3481
良い点:ランプが点灯し作業の補助になる
安定感がある
先端がしっかりしているのでコンセントに当てやすい
悪い点:先端が割れないか心配。
しっかりと感度調整することが必要。
電池の消耗注意。
AC200V:感度ボリュームをLOWにしても、端子に触れる前から反応。
説明書にある通りAC100V専用と思った方が良さそう
さすけ評価:◯ AC100V用 安定の一本
検電器の新定番
ジェフコム株式会社 (DENSAN) SEC-901B
良い点:コンセントの検電時差し込んだまま手を離すことができる。
ブレーカーのテスター棒を差し込む穴に先端を差し込むことができる
接触・非接触含め検電には安心感がある。
悪い点:先端が金属のためショートや感電の心配がある。
被覆検電部が太いため配線の密集しているところで活線が隣接していて、被覆検知部の上と下に活線が走ると反応しない。
盤内などの被覆検電時、先端の金属棒がつっかえて被覆検電部に目的の配線を当てることができないことがある。
AC200V:試験環境では思った通りの反応で良かった。
さすけ評価:◎ シンプルイズベスト 熟練の一本
いにしえの安定感
さいごに
低圧用検電器をいろいろと試してみました。
それぞれ特色がありますが、いかがだったでしょうか。
携帯性・使用感・正確さ すべてを満たすのは難しいです。
一時期数本の検電器を携帯して試していましたが、現在はSANWAのKD3とDENSANのSEC-901Bを胸ポケットに携帯して、機会があれば試してみています。
検電器を活用して感電事故の防止ができれば良いなと願います。
あくまで模擬環境や特定の環境での結果です。私個人の感想も入っており、実際の使用感とは異なることが起きると思いますのでご了承ください。
長い文章をさいごまで見ていただきありがとうございます。
みなさまの検電器選びの参考になれば幸いです。
2022/09/04/234500