更新日 2022年9月4日
はじめに
仕事柄、普段あまり検電器を使うことがありませんでした。
検電確認の際には、ポケットテスター(HIOKI 3244-60)を常備しているのでそちらで測ります。
(テスターは常時携帯しているため、数か月が経つと時折測定レンジ選択ダイヤルの接触が悪くなることがありますので注意が必要です。安全を言うと検電器とのダブルチェックが望ましいです)
電気工事をメインとしている方々は当たり前に検電器を常備しているようなので、私も買って持っていました。
改装中の事務所で、とあるコンセントの電源を落としたかったのですがどのブレーカーかはわかりません。これは検電器の出番と意気揚々と1つのブレーカーを落として検電してみますと反応があります。違うブレーカーを落としてみましたがこれも反応があります。どちらかのブレーカーのはずですが反応があります。結局ポケットテスターで電圧を測定しまして解決しました。
検電器は正確に電圧の有無を教えてくれると思い込んでいたのは間違いと思い知りました。
使用した検電器には感度の微調整はついていないものでした。誤動作?により電気が来ていないにもかかわらず静電誘導によって動作したものと思われます。
この度いろいろな検電器を用意して自分の使用状況にに合った検電器を探したいと思います
検電器とは
目には見えない電気が通っているかを判別する道具です。
被覆の上からでも判別できる機能を持っているものもあります。
電気を検知すると音と光でお知らせする機能を持っているものが多いです。
(音響発光式検電器)
シールドが入った電線には反応しないようです。
コンセントなどの検電では金属導体を有する検電器(直接検電)と
導電性ゴムやプラスチック(短絡防止)で保護された検出部を持つ検電器があります。
検電は検電器を握りこむことによって微弱な電気がコンセントと体と大地を経由して電柱と電線を通ってコンセント流れるものを検出するという壮大な原理です(静電結合を用いた静電誘導による電圧検出)
詳しくは日置電機のホームページにあります検電器の原理をご確認ください
「HIOKI 02 02検電器の原理と使い方 検電器の原理」を検索してみてください
感電しないように自分の身を守るためのはずのものですが
検電器の誤検知(電気が来ているのに反応が無い)によって感電してしまっては元も子もありませんし
電気が来ていないにもかかわらず検知反応をされて振り回されるもの困ります
検電器によってどのように振る舞いが違うのか見てみようと思います。
検電器を使用する前には電池があるかチェックしましょう。
検電作業する前・後に既知の電源で動作確認をしましょう
注意
実験では模擬環境での条件下での反応を見ていますので、実際の現場で必ずこの結果になるとは言えません。
購入した検電器の個体差によっては違う結果になるかもしれません。(個体差があっては困りますが)
今回の実験では分電盤・自立盤のように活線が密集している場所での使用とは結果が異なるかもしれません。
ここで紹介する検電器はごく一部のものです。世の中には多種の検電器が存在します。
購入を検討される際にはこのブログの情報を鵜吞みにせず、周りの実際に検電器を使用している方の意見なども聞いてみてください。
極力正しい情報をお届けできるように努めていますが、誤った情報がある場合があります。
万が一、感電や機器の破損、工具の破損などが起きましてもこちらでは対処できません。恐れ入りますが自己責任にてお願いします。
予めご了承ください。
主に交流のAC100V/200Vの検電を目的としています。高圧や車のDC12Vの検電などはお役に立てないと思われます。
今回登場する検電器のラインナップ
左から長い順に
共立電気計器株式会社(KYORITSU) KEW5711
株式会社兼古製作所(ANEX) No.2145-L
三和電気計器株式会社(sanwa) KD3
株式会社カスタム (CUSTOm) V-17
長谷川電気工業株式会社 (HASEGAWA) HT-610α
(※ MARVEL MT-6100の旧型)
日置電機株式会社 (HIOKI) 3481
ジェフコム株式会社 (DENSAN) SEC-901B
です
一部借りたものもありますが、なんだかんだでほぼ購入してしましました。
懐がさみしい状況ですhi
検電器の紹介 (長い順)
共立電気計器株式会社(KYORITSU) KEW5711
FLUKEのFLK-2ACになんとなく似ている検電器です
ボール紙で出来た吊り下げ型のパッケージに入っています
中には製品とともに説明書も丸まって入っています
丸柱状なのでどちらが表とも言いにくいですが3方向の写真です
検知部は白い樹脂製となっていますその横には白色LED補助光源があります
握り部分の先端に緑色のボタンがあります
一度押すと先端ライトが点灯します。もう一度押すか電圧検知しなくなって30秒すれば消灯します。
1秒以上長押しするとピピッと音が鳴り高感度モードに切り替わります。
2秒間隔で赤色LEDが点滅します。もう一度1秒以上長押しするか45秒経過すれば低感度モード(通常状態)に戻ります。
低感度モード(Lo):AC90~1000V
高感度モード(Hi):AC20~1000V
試しに高感度モードにしてみますとAC100Vの配線から50mm程度近づけると検知しました
試験環境が無いですが、AC24VとかAC48V使用回路で使用するのか、壁裏の電線を探索するのに使うのでしょうか?
後ろのキャップを開けると単4電池がホルダーに収められた状態で2本出て来ます。
購入時には絶縁のためのシールが貼ってあるのではがして使います。
先端ライトは結構大きく、明るく点灯します。大きな単4電池を使用している分ボタン電池より有利ですね。
どの検電器も木製の作業机になぜか反応しますのでその様子です
音は連続音で音も大きく、白い樹脂のところ全体で結構明るく点灯します。
写真では机が暗く写っていますが実際には他の写真と同じく周囲は明るい状態です。撮影しているカメラの絞りを絞らないと検電器が映らないほど明るいという事です。
Loモードで机に置くだけでは反応しませんが、手に持って先端を机にくっ付けると反応します。
Hiモードでは手にもって机に近づけると当てなくても空中で反応します。
株式会社兼古製作所(ANEX) No.2145-L
吊り下げ販売ができるパッケージに入っており、台紙は説明書も兼ねています。
台紙は二つ折りになっていて、内側にも説明が書かれています
テスト用電池が内蔵されていてすぐ使うことができます。
表面には検知時の表示灯がありクリップがあります
クリップの下には発音用の穴もあります
側面には感度切替のスライドスイッチが有ります
検出部の先端は小さなマイナスドライバーの形状をしています。
先端にはキャップが用意されており先端を保護します。
クリップ部分が電池ボックスのふたも兼ねています。
LR44 2個で作動します。
スライドスイッチは「O」低感度(赤ランプ)
「L」中感度(緑ランプ・ブザー)
「H」高感度(緑ランプ・ブザー)
電源スイッチはありません。
側面には検電時に使用する金属片があります(AC直接検電時のみ使用しないとのこと)
裏面には銘板があります
どの検電器も木製の作業机になぜか反応しますのでその様子です
音は断続音ではっきりしています。音と同期して緑のLEDが点滅します。
「O」では反応がありませんが、スイッチを「L」か「H」に合わせると、手に持って先端を机にくっ付けると反応します。
三和電気計器株式会社(sanwa) KD3
2021年6月1日に発売された新しい検電器です
以前のKD2より操作しやすくなっているようです
紙製の吊り下げパッケージの表面に原寸大の検電器が印刷されています
中には紙の取扱説明書が丸まって入っています
50HZ/60HZ以外のインバーター回路の交流には反応しにくくなっているようです
先端は導電性ゴムとなっています
表面に大型のスライドスイッチがついています。
以前の物よりスリムになってデザインも良くなっているように感じます。
裏面には銘板があります
スイッチの表面には突起が4本あり滑りにくくなっています。
スライドスイッチをLOWに合わせるとピッと鳴り同時に検知赤LEDが点滅し、スライドスイッチ部に埋め込まれた緑のLEDが点灯します。
LOWに合わせると、裸充電部・裸線との接触検知動作になります。
スライドスイッチをHIGHに合わせるとピッピッと鳴り同時に検知赤LEDが点滅し、スライドスイッチ部に埋め込まれた緑のLEDが点灯します。
HIGHに合わせると、被覆電線(IV2mm絶縁電線相当)との接触検知動作になります。
オートパワーオフもあり、最終検知から5分後にピピピピー「・・・ー」V と鳴りLEDが消灯します。(一番右の写真)
オートパワーオフ後には勝手に再起動はしないので、電源を切って入れなおさなければいけません。
電源が切れているのに気づかないまま検電しないように注意が必要です。
裏面には注意書きと銘板があります。
電池ボックスは、他のボタン電池タイプのものがクリップを外して交換するものが多い中、電池ボックスをスライドして入れ替えるようになっています。
クリップが外れてどこかに行ってしまうということが起こりにくい構造になってます。
(折れてしまうとどうにもなりませんが・・・。)
クリップの表面には白地に赤のおなじみのSANWAの文字が
ポケットに入れるとsanwaの文字が見えるようになっています。
三和が好きな私は気分が上がります。
どの検電器も木製の作業机になぜか反応しますのでその様子です
音は断続音ではっきりしています。音と同期して赤のLEDと電源の緑LEDが点滅します。LEDはスモーク色の筐体の中にあり通常は見えない少し控えめな存在です。
検電時に反応するとLEDは正面からはもとより、斜め横方向からでも確認できます。ただし真横まで行くと視認性が悪くなります。
スイッチを「LOW」に合わせても反応がありませんが、スイッチを「HIGH」に合わせて、検電器を手に持って先端を机にくっ付けると反応します。
株式会社カスタム (CUSTOM) V-17
吊り下げ販売できるパッケージに入っています
裏面に一般仕様と各部の名称などが書かれています
小さく折られた説明書が中に入っています。
検知部の隣にLED照明がありその隣に「検電」赤LED、「100V」緑LED、「200V」青LEDの表示部があります。
ライト点灯釦は押している間だけ点灯します。電池試験釦を押している間「100V」と「200V」のLEDが点灯します。
スライドスイッチは
「切」電源OFF。(オートパワーオフは無いようです。)
「被」非接触式検電モード。AC30~1000Vで電圧を検出します。
裏のボリュームで感度を調節します
「裸」接触式検電モード。AC7~1000V、DC5~1000Vで電圧を検出します。
検知器両サイドの導電性ゴムを触らないと測定できません。
125V以下の検知で100VのLEDが点灯、125V以上の検知で200VのLEDが点灯するそうです
両側面には「各部の名称」では紹介がありませんが、「裸」モードで使用する導電性ゴムがあります。これを触らないと「裸」モードで検電できません。
先端のLED照明は小型のものが採用されています。
裏面には銘板と発音孔と感度調整ボリュームがあります。
感度調整のボリュームは手で回すことができます。
ボリュームを「LV」左方向に回すと感度が鋭敏になり、低い電圧で反応しはじめます
ボリュームを「HV」右方向に回すと感度が鈍感になり、高い電圧で反応しはじめます
クリップ部分のカバーを引き抜くと、ボタン電池が出て来ます
LR44ボタン型電池が2個必要です
照明釦を押してLED照明を点灯してみました。
また、電池テスト釦を押すと100Vの緑色LEDと200Vの青色LEDが点灯します。
どの検電器も木製の作業机になぜか反応しますのでその様子です
音は連続音で控えめ(弱い)です。音と同期して赤の検電LEDが点灯します。
スイッチを「裸」に合わせても反応がありませんが、スイッチを「被」に合わせて、検電器を手に持って机に近づけると反応します。感度ボリュームが中間くらいで5センチほど離れていても反応します。(他の検電器は机に数ミリ~接触しないと反応しません)
DC検電は接触のみ(裸モード)。アースも必要。危険が伴います。
V-17にはDC検電ができると書いてあるにもかかわらず、説明書きからはどのようにDC検電すればよいのかわかりません。
試しにスイッチを「裸」にして検電器を車のバッテリーに当ててみましたが反応がありません。
AC検電のように当てるだけではダメなようです。
そこで、検電部の先をバッテリーの「+」端子に当てて、利き手の右手で検電器胴体の導電性ゴムを握り、左手でバッテリーの「ー」端子を触ると100Vの表示で検電できました。
あからさまに体に電気を通すのはあまり気持ちの良いものではないです。
DC5~1000Vと書いてありますが、1000Vは現実的ではないと思います。
根拠はありませんが、やってもDC24Vまででやめておいた方が良いと思います。
DC267Vが来ている装置があったので「+」端子と装置のボディ(「ー」)で試してみましたら200Vの表示で検電は出来ましたが、非常に危険に感じます。
直流の検電をされるのなら、長谷川電機のHTE-700Dのようにアース接続端子を用意されているものを使用するべきと思います。(HTE-700Dは被覆の上からの検電機能はありませんので被覆検電は出来ません)
1.5Vの乾電池4本直列につないでDC6Vにしてみましたが反応はありませんでした。
12Vでは反応するのである程度測定誤差はあるようです。
なお、DC回路の「被」モードでの被覆の上からの検電は出来ません。
長谷川電気工業株式会社 (HASEGAWA) HT-610α
低圧検電器と言えばこれ!と言うイメージの逸品です
先端は導電性ゴムとなっています
検知時の表示部と発音孔に電池テスト釦が並んでいます。
釦を押すと表示灯が赤点滅し点滅と同期してピピピと音が鳴ります
クリップを外すと、感度調整とボタン電池が出て来ます
ボタン電池はLR44が2個必要です
感度ボリュームは何度か調整した結果この位置となりまして、今回の実験はこのボリュームの位置で行いました
調整のボリュームを回すには小さなマイナスドライバーが必要です。
ボリュームを「LV」左方向に回すと感度が鋭敏になり、低い電圧で反応しはじめます
ボリュームを「HV」右方向に回すと感度が鈍感になり、高い電圧で反応しはじめます
2022年現在、後継機のHTE-610に変わっています
また、後継機でLED灯付きのHTE-610Lにはストラップ用の孔もあります(HTE-610にはストラップ孔がないです)。また感度調整は指で行えるようになっています
どの検電器も木製の作業机になぜか反応しますのでその様子です
音は断続音ではっきりしています。音と同期して赤の検電LEDが点滅します。
検電器を手に持って先端を机にくっ付けると反応します。
日置電機株式会社 (HIOKI) 3481
最近電気工事屋さんに聞くとこれを持っている人が結構います。
やはり信頼と安定の日置なのでしょうか
私が使用しているデジタルポケットテスターは日置ですが、検電器はいかに?
吊り下げ販売できるパッケージに入っています
小さく折られた説明書が中に入っています。
先端は透明な樹脂製となっています。
丸い電源の押釦があります
裏面にはクリップと銘板があります
先の細いものでお尻のロック解除釦を押しながら表面のフタをスライドすると感度調整のボリュームがあります。
ボリュームを回すには小さな+かーのドライバーが必要です
ボリュームを「+」右方向に回すと感度が高くなり、低い電圧で反応しはじめます
ボリュームを「ー」左方向に回すと感度が低くなり、高い電圧で反応しはじめます
説明書にAC100Vの検電を主としているとのことですので、AC200VやAC400Vを主に使う人には不向きかもしれません。
さらにフタをスライドするとボタン電池が出て来ます。
LR44ボタン型電池が3個必要です
この3481は電源を入れると白色LEDが点灯しますが、
別の検電器で3480という電源を入れると緑色LEDが点灯するものもあります
3480はLR44ボタン電池が2個で作動します。
どの検電器も木製の作業机になぜか反応しますのでその様子です
音は断続音ではっきりしています。音と同期して赤の検電LEDが点滅します。
検電器を手に持って先端を机にくっ付けると反応します。
感度調整をして感度を下げると反応しないようにもできますが、通常の検電動作も検電しにくくなってしまいますので使用環境によって再調整が必要となります。
ジェフコム株式会社 (DENSAN) SEC-901B
吊り下げ販売ができるパッケージに入っており、台紙は説明書も兼ねています。
台紙は二つ折りになっていて、内側にも説明が書かれています
現在はテスト用電池は付属していませんので別途購入する必要があります。(昔のパッケージには電池が付属していたものもあったようです)
20年以上前、私が最初に使った検電器がコレ。
表面には検知時のランプが点灯する黒色で透明な窓とクリップがあります。
クリップの下には発音用の孔があります
側面には電池チェックや直流検知器に使用する金属片があります
裏側には銘板があります
端子棒(検知子)はテスターと同じような金属棒のため、ブレーカーの保護カバーに開いているテスターの穴に端子棒を差し込んで直接検電することが可能。
クリップ部分が電池ボックスのふたも兼ねています。
LR44 2個で作動します
銘板にはSEC-901とあります。
旧型はSEC-900と言うのがあったようです
写真の一番右はSEC-901Bの古いバージョンと比べた写真です
検知時の発光部分のカバーが乳白色になっています。
手元にあるカバーが乳白色のものは今の物に比べて、若干感度が高くLEDの発光は優しく音は少し低く感じます。
電池カバーを兼ねているクリップが無くなってしまい電池がすぐに落ちてしまう状態です。
電池が減ると発光が弱くなります。
どの検電器も木製の作業机になぜか反応しますのでその様子です
音は連続音ではっきりしています。音と同期して赤の検電LEDが明るく点灯します。
検電器を手に持って胴体の金属部触った状態で、先端を机にくっ付けると反応します
検電器胴体の金属部分を触って感度を高くしないと反応しません。
数あるデンサンの検電器の中で、確認した時はこれだけがコーナンPROで販売されています。(2022年8月)
機能一覧表
検電器を選ぶうえで、外観も選択肢の中にかかわってくると思います。
身に着けて動くのであれば携帯性の良さもかかわってきます、大きさや首から下げたり落下防止措置が図れるストラップ孔の有無も選択肢の中に入ってくることもあるのではないでしょうか。
もちろん基本的な検電性能も重要です。
各検電器の情報を一覧にしてみました
さいごに
各検電器の基本的な部分を見てきました。
ここまで見て、これに決めた!と言う人は居ないかと思います。
消去法でこれは無いかなと言うのが少しあればいいかなと思っています。
この次に実際のコンセントの検電を行ってみる実験編に続きます。
最後までご覧いただきありがとうございます。
2022/07/31/000731