- はじめに
- 注意事項
- リレーの基本として、リレーは電流で動く!!
- 松下電工
- OMRON(立石電機株式会社)
- 富士電機製造株式会社(現:富士電機株式会社)
- 富士通信機製造株式会社 (現:富士通株式会社)
- 高見澤電機製作所
- 旭通信製作所(ATS)
- Potter & Brumfield (海外のリレーメーカー)
- 八重洲無線 FT-101
- さいごに
はじめに
このブログでリレーのことを書くようになって、ジャンクを取り扱うお店でリレーが目に入ってくるようになりました。
リレーだけでも膨大な種類があり、きりがないので大きなリレーは見ないようにして、小型のリレーに目をやると富士通や見たこともないブランドロゴの入った古そうなリレーがあります
その当時のものはネットにも資料が無いものが多く想像の部分もありますが、今では国内メーカーでは生産終了してしまったであろうミゼットリレーというジャンルのリレーを中心にひも解いていきたいともいます
注意事項
私がミゼットリレーと表記しているものは富士通のミゼットリレーを基準としています
ケースの中にある可動接点部分は2列なのに対して、ソケットに刺す端子部分は3列になっています
各社で呼び方は違うものとなっていますが、共通の呼び方がよくわからず私はミゼットリレーと呼んでいます
ミゼットリレーは日本国内仕様に対して国際端子配列と呼んでいる海外仕様もしくは海外メーカーのミゼットリレーは外観は同じでも内部の結線が異なっており、国内仕様と海外仕様を間違えて差し込むと事故につながりますのでご注意ください
リレーの基本として、リレーは電流で動く!!
リレーの基本として、リレーを動作させるには表記されているDC12Vや24Vの定格電圧をコイルに印加すると作動すると思っていました。もちろん電圧をかけると動くのですが実際の動作は、コイルに電流を流すと磁界が発生してその磁界によって動作します。
その磁界は駆動コイルの巻数と電流の積であらわされ、リレーの動作に関する設計は電流を基準として行われます。
実使用状態では、電流を安定的に供給する定電流電源より電圧を安定供給する定電圧電源のほうが安価で簡便に組むことができるので、定電圧電源が用いられます。そのためカタログでなどではリレー動作を電圧で特性表示します。
参考文献:「富士通 リレー 技術解説」
励磁された電磁石(鉄心が磁化される)により、可動鉄片(極接子=アーマチュア)が吸い付けられて接点が切り替わります。電流が切れて消磁されると、バネの力で可動接点は静止位置に戻ります。
ミゼットリレー本体に明記されている仕様
手にしたミゼットリレーの多くは定格電圧の表記がありません
かわりにコイルの抵抗値(Ω)やコイルの巻数(T)を表記されているものが多いです
現在の電圧表記に慣れてしまっているので何ボルトをかけて電流を流せばいいのか悩むところです。製品コイルの感動電流や感動電圧のデータシートが無いとわからないのかもしれません
※リレーの動作につきましては、各メーカーなどより詳しい資料が出ていますのでそちらを参照ください
一般的に駆動電圧が交流用リレーのコイル
リレーの駆動電圧は直流用と交流用があります
何が違うのか気にしたこともありませんでしたが、大違いでした
現在の交流操作型のリレーには隈取り(くまとり)コイルを設けて動作させています
詳しくは
「くまとりコイル 自己保持回路が勝手に切れる」 で検索すると
わかりやすい解説を見ることができます
くま取りコイルがあるおかげで、作動時の唸りが抑制されるようです
DCコイルのリレーにAC電源を印加すると
DCコイルにはくまとりコイルがないため、ACの電圧変化に追従して唸りが発生します。
ACコイルにはくまとりコイルがあり、このコイルにより電流位相をずらし、電圧位相とクマトリコイルによりずらした電流位相の合成により、ACの定期的に電圧が0になる点をなくしてあるため唸りは生じません。
交流コイルのリレーに直流電源を印加しても唸りは生じません。コイル電流が増大されます
参考文献:「OMRON リレーがうなる FAQ」
松下電工
沿革
西暦 年 月 事項
1918 大正7.3 現相談役松下幸之助、大阪市此花区大開町1-31に松下電気器具製作所を開設、配線器具の製造販売を開始
1920 大正9.2 M矢の商標、所章制定
(石清水八幡宮の破魔矢からヒントを得て考案したもので、矢には「どんな障害にも屈せず、急速に躍進する」という意味がこめられ、これと松下電気器具製作所の頭文字Mを組み合わせたのが由来)
1929 昭和4.3 松下電気器具製作所を松下電器製作所と改称する
1935 昭和10.12 松下電器産業株式会社を設立、同時に9分社を設立
第3事業部は松下電器株式会社となる
1943 昭和18.5 松下電器(株)から松下航空工業株式会社へ社名変更
1945 昭和20.11 松下航空工業(株)から松下電工株式会社へ改称
参考文献「松下電工60年史 昭和53年5月5日発行 松下電工株式会社」
2004 平成16.4 松下電器産業による株式公開買付け (TOB) により出資比率が31.8 %から51 %に引き上げられ、関連会社から子会社に戻った
2008 平成20.10 松下電工株式会社からパナソニック電工に社名変更
(親会社の松下電器産業が松下電器産業からパナソニック株式会社に社名変更したのに合わせたもの)
「ナショナル」(National)ブランドも「パナソニック」(Panasonic)ブランドへ切り替え
2011 平成23.4 パナソニックによりパナソニック電工(株)及び三洋電機(株)を、株式交換により完全子会社化
2012 平成24.1 パナソニックに吸収合併され解散し、76年の歴史に幕を閉じた
同時にパナソニックの社内カンパニーとして「エコソリューションズ社」が設立
2019 平成31.4 「ライフソリューションズ社」に社名変更
2021 令和3.10 「エレクトリックワークス社」に社名変更
「Electric Works」という英文ながらも建築業界等で長らく知名度が高かった「電工」の名が復活した
「wikipedia パナソニック電工」より引用
松下電工 NK型 ミニチュアリレー(終了品)
NKリレーは電流値(コイル抵抗値)基準
松下電工のNKリレーは電圧値ではなく電流値を基準としてリレーの品種が用意されています
カタログのリレー選択表を見てみると、「コイル定格電圧」の項目に唯一
電流リレー 2C,4C:1.5~15000Ω
6C:78~7,600Ω
と記載されています
今となっては、電圧基準のリレーが主流ですが、電流基準のものがあったとは私にとっては新たな発見でした。
NKリレーは
1968年5月に創業50周年記念新商品として発売されました (参考文献、松下電工 60年史)
NKリレーのラインナップ(日本端子配列)
NKリレーは2C、4C、6Cがあったようです
直流用はコイルの抵抗値ごとに区分けされています。
6極のソルダ・プラグイン型で抵抗値がコイル抵抗値が110Ωのリレーに注目してみると(547ページ)
品番は NK6-S-110Ω
NKはシリーズ名、6は6C、Sはソルダ端子のS、110Ωはコイルの抵抗値のようです
品番は AE3271
価格は 1,300円
感動電流は80mA(DC)以下 :動き出す電流値
感動電圧は9.6V(DC)以下 :動き出す電圧値
開放電流は10.0mA(DC)以上 :一旦動いたリレーが復帰する電流値
です
コイルの定格電流(圧)は感動電流(圧)の1.5倍でお使いください(注:6Cリレーのみ)
注意:2C、4Cは、「コイルの定格電流(圧)は感動電流(圧)の1.5~2倍程度でお使いください」とのこと。その他、使用上の注意事項が小さく明記されています
となっているので
80mA×1.5=120mA
9.6V×1.5=14.4V
で使用するのが良いようです
また、電圧リレーとしてご使用の場合の該当品番(545ページ)を見ると、NK6-S-110ΩはDC12V用として使用できるようです
ネット上にあるAE3271の写真を見てみると、青色のナショナルのロゴに松下電工の文字
110-2500
Ω T
とあり、110Ωで2500回巻であると思われます
資料には巻き数が2500回ということが見つけれないのですが、性能概要(547ページ)の最低感動アンペアターンの項目の6Cの所を見ると「200AT」となっていますので、最低感動電流が0.08A(80mA)×2500回巻=200AT
となり、つじつまが合いそうです
アンペアターンとはアンペア回数とも呼ばれ、コイルの起磁力の単位だそうです。
また、ネットにあるAE3271のページにはAE3171も写真があり、見た目は全くAE3271と同じで、品番以外に違うのは印字の色が黒色というところくらいのようです。
AE3271 NK6-S-110ohm 1969.4.1~1996.11.29
足の配列は私がいつも使うHCリレーとは異なり接点側を正面から見ると、3列あり左右の側面はA接点B接点端子で中央がそれぞれのコモン端子となっています(549ページ参照)
絵はリレーをひっくり返して裏からみた図になっていて、コイルを下にした時に右の接点は下のコモン端子、左の接点は上のコモン端子となります
直感的では無く、わかりづらい端子配列ですので間違えないように注意が必要です
接点の定格
リレーに電流を流すと接点が動きますが、リレーの定格として重要なものの一つに接点の定格かと思います
2C,4C,6C共通で
接点許容電流は 直流2A(25V)、交流2A(50V)
接点許容電圧は 直流100V(0.5A)、交流(0.5A)
接点許容電力は 直流50W、交流100VA
となっております
Kリレー(国際端子配列)
NKリレーのNを取ったKリレーというのもあったようです
特に注目したいのが端子配置場所は同じで見た目も足のピッチも国内配列と同じなのにコモン端子の内部接続が異なっており
リレーをひっくり返して裏からみた図を見たとして、コイルを下にした時に右の接点は上のコモン端子、左の接点は下のコモン端子となっています。
(説明がうまくできていませんが、なにぶん違うのです)
見た目がそっくりなので、端子の役割も共通にすれば良いのにね
もしかしたら、海外か日本のどちらが先に作ったのかは解りませんが、後から作った人が作るときに図面だけ見て上からみた図と下からみた図を勘違い(Top view、Bottom view)してしまったのかななんて想像してしまいます。
ソケットが合うからと思って海外向け・国内向けのリレーを間違えて刺しこんだら事故が起こります
また海外向けの物にはアース端子が用意されているものもあります
NKアンバーリレー(日本端子配列)
NKリレーのメカ接点部分に不活性ガスを封入したリレーです
6極のプラグイン型で抵抗値がコイル抵抗値が110Ωのリレーに注目してみると(553ページ)
品番は NK6E-110Ω
NKはシリーズ名、6は6C、110Ωはコイルの電圧のようです
品番は AE3171-44 (AE317144)
とお尻に「44」が追加されています
AE317144 NK6E-110ohm 1975.12.1~1998.11.30
また、NKアンバーリレー AE317144の後継機は
AE317160 で「44」が「66」に変わります
見た目が今までは透明なケースで中の機構が見えていましたが、黄色の樹脂ケースとなり中は見えません。
そのうえで端子面は黒い樹脂で密封されているようです
AE317160 NK6EB-110ohm 1998.9.1~2011.9.1
NKリレーの品番体系 (正確にはメーカーの資料を確認ください)
品番は(AE3 1 71 60など)
AE3:NKリレー(直流型)
形状表示:1(ソルダ・プラグイン型)、2(ソルダ・プラグイン型)、3(プリント型)
接点構成とコイル抵抗:01~26(2C)、31~56(4C)、67~85(6C)
構造:無表示(通常)、44(アンバー(密閉)タイプ)、60(アンバー(密閉)タイプ)
AE4:NKリレー(交流型)
形状表示:2(ソルダ・プラグイン型)、3(プリント型)
接点構成:2(2C)
コイル電圧表示:0(6V)、1(12V)、2(24V)、3(48V)、4(100V)、5(200V)
型番は(NK 6 EB-110Ω など)
シリーズ名:NK
接点極数:2(2C)、4(4C)、6(6C)、2A(2C AC型)
構造:無表示(標準品)、E(アンバーリレー)、EB(アンバーリレー)、G(国際端子配列)
端子形状:無表示(プラグイン型)、S(ソルダ・プラグイン型端子)、P(プリント板型端子)
コイル定格:Ω(コイル抵抗・直流型)、V(コイル電圧・交流型)
NSリレー(日本端子配列?)
NKリレーを調べていましたらNSリレーなるものもあったようです
資料が見当たらないのではっきりとはわかりませんがNKリレーとピン配列は同じで、作動する電圧を基準としていたようです
白い樹脂ケースで中は見えません
詳細は不明ですが数個見た感じですと
品番は(AE2221など)
AE2:NSリレー
形状表示:2(ソルダ・プラグイン型)、3(プリント型)
接点構成:2(2C)、4(4C)
ただし6Cがあったのかは不明
コイル電圧表示:0(6V)、1(12V)、2(24V)など
型番は(NS2-S-DC12V など)
シリーズ名:NS
接点極数:2(2C)、4(4C) 6極があったのかは資料が無いので不明
端子形状:S(ソルダ・プラグイン型端子)、P(プリント板型端子)
コイル電圧:DC12V、DC24Vなど
ではないかとと思われます
リレーの特性・耐圧などは不明です。
AE2320 NS2-P-6V 1971.2.25~1993.12.1
NKリレー NSリレーの品番羅列
AE3244やAE2241などインターネット検索を画像で行うと似たようなリレーが出て来ます
写真のから読み取った印字と資料を参考にした対応電圧を拾い出してみました
AE3213 170Ω-3150T :DPDT プラグイン型 DC6V
AE332260 NK2EB-P-2100Ω 10300T :DPDT 密閉構造 プリント板型 DC24V
AE3244 NK4-S-250Ω 3800T :4PDT プラグイン型 DC12V
AE314460 NK4EB-250Ω 3800T :4PDT 密閉構造 プラグイン型 DC12V
AE3171 110Ω-2500T :6PDT プラグイン型 DC12V
AE3271 110Ω-2500T :6PDT プラグイン型 DC12V
AE317160 NK6EB-110Ω 2500T :6PDT 密閉構造 プラグイン型 DC12V
AE2221 NS2-S-DC12V :DPDT プラグイン型 DC12V
AE2321 NS2-P-DC12V :DPDT プリント板型 DC12V
AE2222 NS2-S-DC24V :DPDT プラグイン型 DC24V
AE2241 NS4-S-DC12V :4PDT プラグイン型 DC12V
AE2341 NS4-P-DC12V :4PDT プリント板型 DC12V
OMRON(立石電機株式会社)
日本におけるオートメーションの父ともいえる立石一真様が創業された会社
昭和8年5月 (1933)立石一真が大阪市都島区東野田に立石電機製作所を創業。
レントゲン写真撮影用タイマの製造を開始(創業年月日 昭和8年5月10日)。
昭和23年5月 (1948) 商号を立石電機株式会社に変更(設立年月日 昭和23年5月19日)。
昭和34年1月 (1959) 商標をOMRONと制定。社憲制定。
平成2年1月 (1990) 社名をオムロン株式会社に変更。
「オムロン株式会社」は、本社のあった京都・御室(おむろ)の地にちなんで名づけられました。
(参考文献:オムロンホームページ「オムロンの歴史」より)
MH サブミニチュアリレー(日本端子配列)(終了品)
OMRONの社名がまだ立石電機だったころに製造されていたリレーです
1983年3月まで製造されていたようです
すっきりとした商品構成となっています
操作コイルは定格電圧別となっています
プラグイン型だけを見ると
1極 MH1P DC6V、DC12V、DC18V、DC24V、DC36V
2極 MH2P DC6V、DC12V、DC18V、DC24V、DC36V
AC6V、AC12V、AC24V、AC50V、AC100V
4極 MH4P DC6V、DC12V、DC18V、DC24V、DC36V、DC48V
6極 MH6P DC6V、DC12V、DC24V、DC48V
となっています。
コイルの消費電力は松下電工のNKと比べて2極4極はオムロンのほうが少なく設定されているようです。
6極については全く同じです
接点の定格
接点の最大通電電流は 1Aとなっています。
MHK 2線巻ラッチングリレー
通常のリレーはコイルの端子が2つしかありませんが、このリレーは4端子あり外側の2端子がセットコイル、内側の2端子がリセットコイルとなっています。
接点は1接点出力となります
MH-UA- (国際端子配列)
海外向けのリレーですが、接点電流が1Aに加えて2Aと5Aのものもあったようです
通常のリレーに1極は無いようです
MH6P-UA-DC12
のように、品番の途中に「UA」が追加されます
ピン配列の図がありますが、こちらも松下電工のNKリレー同様、コモン端子が国内向けと入れ替わっていますので、国内向けと間違えてリレーを使用すると事故が起こります
MH1KP-UA- (国際端子配列)
2線巻ラッチングリレーです
通常のリレーはコイルの端子が2つしかありませんが、このリレーは4端子あり外側の2端子がセットコイル、内側の2端子がリセットコイルとなっています。
接点は1接点出力となります
接点最大定格電流は1Aです
富士電機製造株式会社(現:富士電機株式会社)
富士電機と言えば
富士電機と言えば日本を代表する重電機メーカーの一つです
火力発電所のタービンからUPSまで製造しています
一般的によく見かけるものと言えば街中にある自動販売機ではないでしょうか
缶ジュースから、かつてはあったかいうどんの自販機もありました
創立総会と社章
富士電機創立総会は、大正12年(1923年)8月22日、古河電気工業会社内で開かれた
(※ホームページによると設立日は8月29日)
社名「富士」は古河の「フ」とシーメンス社の「シ」を採って、日本一の富士山を表象したものである。また社章はシーメンス社の社章にならって、両社の欧字頭文字を組み合わせた図柄とした
大正12年(1923年)9月1日、関東大震災と日を同うして発足
(富士電機社史より)
家電
かつては富士電機も家電を販売していました
扇風機や洗濯機や冷蔵庫、ジューサーなどがあったようです
なお、富士電機製の扇風機につきましては約30年前に製造・販売を中止しており、使用を中止くださるようお願いの案内がホームページに掲載されています。
(富士電機社史より)
リレー(ミゼットリレーでは無い)
現在は富士電機機器制御株式会社にて販売されています
制御リレー HH5シリーズ(ミニコントロールリレー)などがあります
HH54P DC24V です コイルには紫色のテープが巻かれています
ロゴは創立時のものが使用されいる古いものです
現在のHH54PW AC100-110V です プラスチックに裏彫りされたFe のロゴが
薄っすらと見えます
コイルには緑色のテープが巻かれています
HH54P-FL DC100-110V です こちらもプラスチックに裏彫りされたFeのロゴが見えます
コイルには濃青色のテープが巻かれています
ベトナム製のようです
ミゼットリレーについては当時制作されていたのかは不明です
富士通信機製造株式会社 (現:富士通株式会社)
設立
富士電機製造株式会社において、昭和8年3月に電話部を新設して翌4月から本格的の制作を開始
(弱電部門第一着手の製品として自動電話交換装置の制作を開始)
昭和10年(1935年)6月20日に新たに富士通信機製造株式会社を設立して、今まで富士電機製造株式会社の業務の一部であった通信機関係の製造販売を分離独立した
通信機関係を分離して別会社にした理由は、仕事の性質上重電機とは異なって将来労働問題が起きた場合なども、同じ条件では困るであろうし、海に近い川崎では湿気や発錆の問題もあると思われるし、もう一つは東京電気会社との提携関係もあったので、総合経営の長所もあったが思い切って別個の会社にしたのであった。
富士電機川崎工場内に本社および工場を設けて製造販売を開始した
昭和13年(1938年)10月川崎市小田中に移転
(参考文献:富士電機 社史(昭和32年発行)より)
1967年(昭和42年)6月 「富士通株式会社」に社名を変更
(参考資料:富士通ホームページ 富士通の歩み(沿革)より)
設立当時の社章は富士電機製造と同じ丸の中にfとsを組み合わせたものを使用していた
1935~1978
F.Bv.153 リレー (日本端子配列) (終了品)
このミゼットリレーのブログを書くきっかけの一つのリレーたちです
左から F.Bv.153f 71/101 、F.Bv.153b 91/101 、F.Bv.153e 31/3
となります
F.Bv.153f 71/101を詳しく見てみる
外の透明ケースには「FUJITSU」の刻印があります
コイルにはfとsを模った富士電機と同じロゴが使用されています
F.Bv.153f 71/101 1100-7700 0.06CuL
と表記されています
4極リレーです
F.Bv.153b 91/101を詳しく見てみる
外の透明ケースには「FUJITSU」の刻印があります
コイルにはfとsを模った富士電機と同じロゴが使用されています
F.Bv.153b 91/101 2100-10000 0.05CuL
と表記されています
4極リレーです
F.Bv.153e 31/3を詳しく見てみる
外の透明ケースにはfとsを模った富士電機と同じロゴの刻印が使用されています
コイルにもfとsを模ったロゴがあります
F.Bv.153e 31/3 250-3800 0.09CuL
と表記されています
2極リレーです
仕様はどうなんだろう?(予想)
ネット上を見ても古すぎて情報がほとんどありません
F.Bv.153はシリーズ名なんでしょうけれど、その次のbとかeとかfが何のことか予想つかない
71/101もアンペアターン(AT)とかを表記しているのだろうか?にしてはおかしな数値?
1100-7700は松下電工の例を見ると1100Ωの7700巻ではないかと予想
コイルの抵抗値を直流抵抗計(テスター)で測定してみると、1.09KΩを指しているのでここだけはあながち間違いではなさそうです
次の0.06CuLについては、Cuは銅の元素記号なのでコイルに巻いてある銅線の直径が0.06mmではないかと予測します
ピンの配列については松下電工の項目にあります「NKリレー 定格 国内端子配列」の写真を参照するとピンのそばに記載されている1~8の数字およびA・B・Cのアルファベットの割り当ては同じ様です
見た目は現在のリレーの多くは接点がベースに近いところにありコモン端子はリード線で接続されているのに対して、ミゼットリレーは接点部分が上にあり金属板を導体として接続されています
実際に動かしてみよう
まずは試しに松下電工のHCリレーを動かしてみる
松下電工 AP3221Kの仕様は定格電圧DC12Vの2極リレーです
定格励磁電流75mA、コイル抵抗160Ω、定格消費電力0.9W、感動電圧12×0.8=9.6V以下
電圧を0Vから上げていきますと6.4Vで作動しました。(写真左)感動電圧の9.6Vまで余裕があります。
定格電圧であるDC12Vまで電圧を上げました(写真中央)
DC12V時、写真を写す角度が悪いですが電流値は75mAを指しています(写真右)ので、仕様と同じです
F.Bv.153e 31/3を動かしてみる
仕様もよくわからないリレーです。
手掛かりとしては、見た目で2極リレーであること、コイルの表面に記載されている定格は250Ωで線が3800回巻であることです
似たようなリレーを松下電工のNKリレーのカタログで探すと「NK2-S-250Ω AE3214」があります
接点の極数も、コイルの抵抗値も同じですのでこれの定格を参考に電圧をかけて行ってみます
松下電工のカタログ値は感動電流は19mA、感動電圧は5.2V、で注意書きに「定格電流・電圧は感動電流・電圧の1.5~2倍程度でお使いください」とあります。
定格消費電力は0.5Wです
なお、NK2-S-250Ωは「電圧リレーとして使用する場合の該当品番」の「高速度型」において「接点構成2c 仕様DC12V」の項目に挙げられていますので、DC12V用のリレーとして使用できます
0Vから電圧を徐々に上げて行ってみます
(コイルの温度も電流値に関係していますので誤差は出ると思います。
電気をかけ続けることでコイルが温まると電流は少なくなります。
またアナログテスターを使用していますので、読み手の測定誤差もあります。)
(なぜアナログ電流計かと申しましと、手元にある初めてアルバイトして買った三和のデジタルテスターが壊れて電源が入らないためです)
☆5.2Vを印加してみる
感動電流である5.2Vを印加してみます
すでに3.2Vの時点でコイルの磁力によって可動接点は移動しています
5.2V時 約19mAです。
松下電工のカタログ値とほぼ同じです
☆9Vを印加してみる
感動電圧の1.7倍である9Vを印加してみます
9V時 約33mAです
☆12Vを印加してみる
感動電圧の2.3倍である12Vを印加してみます
12V時 約47mAです
12V×47mA=564mW で、定格の500mWは少々オーバーです
松下電工の高速度型の注意書きに
標準型に比べ、温度上昇値は高くなり仕様周囲温度は狭くなります。また、消費電力も大きくなります。
とありますので、想定の範囲内と思います
☆まとめ
富士通のF.Bv.153e 31/3 を松下電工のカタログ値を参考に動作させてみましたが、意外に合致していて驚きました
(この実験の後、富士通のカタログが手に入ります)
F.Bv.151 F.Bv.153 F.Bv.156 のカタログ
インターネットでミゼットリレーの詳しい資料を探しましたが見つかりませんでした
このミゼットリレーのブログを書き始めて数か月経過していますが、資料を探している中で古本の中に気になるものを見つけました
書籍の写真もなく、一か八かカタログとしては高価でしたが購入してみましたらなんと探していましたミゼットリレーのカタログでした
表紙には
「FUJI MIDGET TYPE RELAY 富士超小型継電器 1961.May VII版 FT-1/7RG」
とあります(昭和36年)
このリレーの発売時期はよくわかりませんが、カタログが1961年の物ですので1960年代前後と思われます
F.Bv.151 の種類・構造・仕様番号 (一部 F.Bv.153、F.Bv.156と共通)
これを見ましたら、a・b・c、、、などの記号の理由、31/3などの数字の意味が理解できますが
この表が無くては全く理解不能ということがよくわかりました
更に、
a・・・(Arbeitskontakt)(動作接点)
r・・・(Ruhekontakt)(静止接点)
w・・・(Wechselkontakt)(切替接点)
などと書いてあります
英語かと思いきや、ドイツ語のようです。
それぞれ英語や日本語でいうところの、
Relais・・Relay、リレー
a・・a接点、Arbeit Contact、常開接点、NO(Normally Open:ノーマルオープン)、メイク接点
r・・b接点、Brake Contact、常閉接点、NC(Normally Close:ノーマルクローズ)、ブレイク接点
w・・c接点、Changeover Contact、切替接点、トランスファー接点
接点構成にある「gww」という表記の注釈は無いのですが
ドイツ語でGが頭にくる関連ありそうな単語を調べてみました
geschlossen 閉まっている
gleichzeitiges 同時に
geschaltet 切替
gleicher 同じ
gehäuse ケース
getrennten 分離、区切られた、別々の、切り離された
などがあります。
4極のC接点リレーを表しているので
おそらく最後のgetrenntenを用いて、「区切られたⅭ接点・C接点」とでも表しているのかなと想像します
F.Bv.151の取付は端子とは逆の面に、取り付け用のネジ穴があります
端子ははんだづけを前提とされているようです
F.Bv.151 の規格・仕様番号表 (一部 F.Bv.153、F.Bv.156と共通)
規格表にはコイルの定格・接点の耐圧などが書いてあります
珍しいものに最大動作断続数 100回/秒 というものがありますが、そんなに高速に動くの?そんなわけないですので、動作させる際に省エネのためにON/OFFさせるのか、はたまたほかに意味があるのか、単純に断続しても大丈夫って言いたいだけなのか・・・・無知ですみません
接点圧力(最小)5g というのも、接点が動いて当たるかどうかだと困るので、一定圧力以上でくっつかないと接触抵抗値にも影響するのでしょう、そこも加味して規定があるのだろうかなと考えさせられます
F.Bv.153、F.Bv.156の資料
F.Bv.153はF.Bv.151をプラグイン型にしたものですので、電気的な仕様および製作系列はF.Bv.151と同じです
また、F.Bv.156はF.Bv.153をスタッド止め型にしたものです
このブログの題材にしているのが、このF.Bv.153となります
松下電工 NKリレーとの比較
実験にてF.Bv.153e 31/3 を松下電工のNK2-S-250Ω AE3214の仕様を参考に動作試験してみましたが、仕様番号(F.Bv.151e 31/3)から表を確認してみますと
C接点が2つ、巻線の抵抗は250Ω、感動電流は19mA 以上です。
情報が非常に少ないですがここまでは全く同じです。
感動電圧などの情報はありません
他に手掛かりはないかとみてみますと
F.Bv.151の規格表とNKリレーの定格との部分を見比べてみますと
2C接点のもので、
最低感動アンペアターンは 72ATで全く同じ
使用動作アンペアターンは 150ATで全く同じ
消費電力は 500mWで全く同じ
開放アンペアターンは15アンペアターンと10アンペアターンで違う
動作時間は 2~8msと10msで違う
接点電流は 0.3Aと2Aで違う
4C接点のもので、
最低感動アンペアターンは 110ATで全く同じ
使用動作アンペアターンは 200ATで全く同じ
消費電力は 800mWで全く同じ
開放アンペアターンは35アンペアターンと20アンペアターンで違う
動作時間は 2~8msと10msで違う
接点許容電流は 0.3Aと2Aで違う
という結果でして、動作するコイルにつきましては松下電工のNKリレーと似たような仕様のようですのでNKリレーの該当品番で感動電圧などを参考にできるのではないかと考えます。
なお、動作時間を8msにするにはNKリレーのカタログ中の「電圧リレーとしてご使用の場合の該当型番」の高感度型を参考にするとよいと思います。ただし注意があり
「標準型に比べ、温度上昇値は高くなり仕様周囲温度は狭くなります。また、消費電力も大きくなります。」
おそらく富士通のほうが先にリレーを発売していたのではないかと思いますので、当時のことは全く分かりませんので違うかもしれませんが「マネシタ電器」と良い意味で言われていた頃ですので、同じもののようで松下電工の方がより高性能なものを製造していたのではないかと思います。
高見澤電機製作所
沿革
1917年(大正6年)9月 高見澤電機商会を設立
1939年(昭和14年)12月 商号を高見澤電機製作所に変更
1962年(昭和37年)8月 東京証券取引所市場第二部に上場
1995年(平成7年) 富士通株式会社と株式会社高見澤電機製作所の共同出資で富士通高見澤コンポーネント株式会社創立
2001年(平成13年)9月 富士通高見澤コンポーネント株式会社と共同し、株式移転により富士通コンポーネントの完全子会社になりました
2001年(平成13年)10月 富士通コンポーネント株式会社に、株式会社高見澤電機製作所及び長野富士通コンポーネント株式会社(旧富士通高見澤コンポーネント株式会社)より管理・営業・技術開発部門を移管し、営業を開始いたしました。
(富士通コンポーネントの歴史・創業ストーリー、富士通コンポーネント沿革より一部引用)
私と高見澤電機製作所との出会い
20年以上前のこととなりますが、当時初めて見た製品のIOユニットにたくさん取り付けてありましたリレーです。
どこのメーカーかと思いましたらTAKAMISAWAと書いてあったと記憶しています。
写真左と中はその時見た製品です。時を経てお役御免となりました。
右の写真は、現在のインターホン内部に搭載されているリレーです。
TAKAMISAWA印のもの2つとF&T印のリレーを見ることができます。
SYリレーについて、昔のものは外装の天部にJAPANと彫り込まれているのに対して、今のものは品番と同じ面にJAPANと印刷されています
ミニリレー MAT4-C (ミゼットリレーではない)
高見澤製作所のこのリレーを見つけるまで、この後に出てくるミゼットリレーのことが全くわかりませんでした。
TAKAMISAWA ELECTRIC CO. LTD. の文字の上部にはメーカーロゴと品番が書かれています
このメーカーロゴ、ローマ字のTとEを横にしたものを組み合わせているものを丸い形状に描いているように見えます
この社章がどこのメーカーかわからず、ずいぶんと探しました
ミゼットリレー (日本端子配列) (終了品)
MQ-408を詳しく見てみる
MQ-408と書かれたミゼットリレーです
高見沢電機製作所と明記されているわけではありません
ただカバーとコイルに上の項目のリレー「MAT4-C」と同じ社章が刻まれていますので、高見沢電機製作所製のミゼットリレーであると判断しました
底面の足の部分にピンアサインを示す番号や記号は刻まれていません
コイルには「MQ-408 48V 2300Ω」と記載されています
4極リレーとなります
他社の物より、背が高いように見えます
MQ-507を詳しく見てみる
MQ-507と書かれたリレーです。
他社とは違い、2極リレーにもかかわらず、4極リレーと同じ大きさです。
4極リレーから2接点分部品が無いような作りです
コイルには「MQ-507 100V 10000Ω」と記載されています
2極リレーとなります
カバーは小さなねじで固定されています
ネジを外すと簡単にカバーは外すことができました
MQ-408を動かしてみる
MQ-408のデータシートがありませんので、コイルに記載されているDC48Vを印加してみます
電流は18mA程度流れました
MQ-507については手元の電源装置が対応できないので、未計測となります
MQ-303 MQ-307 MQ-308 MQ-408 MQ-507の品番を考える
MQが何の略なのかはわかりません
ネットオークションなどの写真を探し出すと数字の頭は電圧を意味し
3・・・DC24V 600Ω
4・・・DC48V 2300Ω
5・・・DC100V 10000Ω
そのあとに続く番号
03・・・
07・・・2極 ツイン接点
08・・・4極 ツイン接点
08-2・・・4極
ではないかと推測します
他の電圧や、接点構成があるのかは不明です
富士通などとは基本構造は同じものの、コイル性能などはまた違った趣向のミゼットリレーのようです
旭通信製作所(ATS)
旭通信製作所というメーカーもあるようです
失礼ながら、今現在もあるのかはわかりません
検索すると、主に同軸リレーの分野が得意のようです
MR-201Bを詳しく見てみる(ミゼットリレーではない)
高周波リレーのようで、アルミのケースでシールドされています
2極の接点を有しています
DC12V 70mAで作動するようです
8本のピンが出ており、2つはコイル残りは2極の接点です
Potter & Brumfield (海外のリレーメーカー)
ミゼットリレー (R10シリーズ)
OMRON MH4PやMH6P(サブミニチュアリレー) とよく似ていますが、ピンの配列(ピンアサイン)が異なっています
海外向けの OMRON MH4P-UAや松下電工の国際端子配列 K4-24(AE3440)とピン配列は同じではないかと思います
検索すると画像がいくつも出て来ます。一例を書き出すと
R10-E1550-2 R10A-E1-Y6-S1.275K 767003 24V DC 2 AMP 30V DC Mexico
R10-E1-Z6-V430 24VDC MEXICO
R10-E1-X2-S800 12V DC
などが出て来ます
いまでもTE(タイコ エレクトロニクス)よりリレーは発売されているようです
Potter & Brumfield ミニリレー (KHシリーズ)
OMRON で言うと MY4に相当するリレーと思われます
アメリカで特許を取っているのかな?と思われます
Potter & Brumfield KH4703-1 24V DC 1/10 HP,3A 120VAC 3A 28 V DC RES PATENTED U.S.A.
P&B DIV., A.M.F. KH4695-1 120V 50/60Hz 1/10 HP,3A 120VAC 3A 28 V DC RES PATENTED U.S.A.
AMF POTTER &BRMFIELD KH5543 24V DC 1/10 HP,3A 120VAC 3A 28 V DC RES. MADE IN U.S.A. PATENTED
八重洲無線 FT-101
ミゼットリレーそのものの話ではないですが
八重洲無線という通信機メーカーがあります
その中でも名機と言われているFT-101「ワンノーワン」の中にもリレーが使われています
電圧を切り替えているリレーに松下電工のAE3171もしくはAE3271が採用さてているようです。代替品としては松下電工AE317160、オムロンのMH6Pがありますがどれも廃番のようです
海外製のリレーを使った記事もありましたが、ピンの配列は同じでも内部回路が違うので配線の接続変更をしなければいけなく難易度が高いようです
もう一つアンテナを切り替えるのにリレーが使われていて、オムロンのMX2Pです
こちらは2極リレーで2接点のうち1接点を使用しているようです
こちらも代替リレーには苦労しているようです
知り合いの方が当時FT-101のフルラインを所有されていたのを懐かしく思い出します。カーキー色のジャンバーをいつも着られているとても優しいかたで色々教えていただきました。
大変お世話になった方で、今の私があるのもこの方のおかげです。2020年サイレントキーとなられたようで残念です。
さいごに
ミゼットリレーとともにリレーの動きや、いろいろなメーカーの歴史も知る良い機会となりました。
古いリレーでわからないことも多いですが、何かの参考になれば幸いです。
長文最後までご覧いただきありがとうございます。
2021/09/19/230000