さすけ のインターホン ブログ

趣味のインターホンに関することを中心に書き綴って行きます

推しのリレー、歯車をラチェットで回転させてON/OFFするステッピングリレー 松下電工AR7221 HCSB、オムロン ラチェットリレー G4Q-212S、フリップフロップリレー AGC1213

2021年8月15日 初版

はじめに

推しのリレーと書きましたが、すでに松下電工では2001年に廃番となってしまっているリレーです
モメンタリー接点(ワンショット)(瞬間信号)(自動復帰)のトリガー信号の入力をオルタネイト接点出力(連続信号)(保持)に変換するリレーです
1線巻ラッチングリレーとは異なり、入力する電圧の向きは問わず(保護ダイオードを入れない場合)コイルに電圧をかけるたびにON-OFFが切り替わり、電圧をかけていない間も状態を保持します

松下電工 HC ステッピングリレー カバーを外した状態 AR7221 HCSB-DC12V

私が社会人になった1990年台終わり頃、現場の仕様で複数の箇所から一つの電話回線信号を切り替える必要がありました。通常であれば加賀通信工業の転換器(KG-12A)という物理的なスイッチを使用するところですが、これをステッピングリレーで行うことになりました
 他にも電気錠制御盤がで連続解錠入力が連続信号入力のみの場合で、複数箇所から施錠・解錠したい場合にも活用していました。

ステッピングリレー とは

ステッピングリレーとは、リレー内部にギアとラチェットが組み込まれていて、通電で内部のギアが回転して接点が切り替わる特殊な動きをするものです。
通常のリレーとは違いギアによって回転した板カムが接点を押し離すもしくは、板カムが居なくなって板バネの力で接点がくっ付くので、通電が切れても接点の状態を保持します(待機時の電源は不要です)。

ステッピングリレーは1つの入力(コイル)にパルス電圧を入力するたびに出力がON->OFF->ON->OFFを交互に繰り返す(2ステップ型の場合)リレーです
通電していなくても状態を保持します
また、4つの接点が順次ONになって行く4ステップ型もラインナップにありました


(※ここで言うステッピングリレーは松下電工のもので、OMRONのステッピングリレー(G9B)とは違う構造のものです、オムロンではラチェットリレー(G4Q)が似たような構造となります)

HCキープリレーとは AP7*** HC2K(2012年8月廃番)

ステッピングリレーと似たようなリレーにキープリレーというものがあります。こちらは2つの独立した入力がありSET(ON)とRESET(OFF)の入力が決まっていて、ONの入力にパルス電圧を印加するとON、OFFの入力にパルス電圧を印加するとOFFの状態となります。
停電時も状態を保持します。
(2線巻ラッチングリレーと同等の動作です)
ONの時にはリレー上面の長方形に切り抜かれた窓から、赤いマーカー表示が現れます

オムロンですと形MYK (MY2K) に相当すると思われます。接点出力は2Cですが、ソケットを使用する場合はコイルが1つ増えた分端子が2個増えたので4極リレー用のソケットが必要です。動作表示もマーカー表示があるようです(オムロンは2021年8月現在現行品)

松下電工 HCキープリレー 2012年8月廃番

写真は松下電工 HCキープリレー AP7124 HC2K-AC100V 2012年8月末廃番

OMRONのラチェットリレーと松下電工のステッピングリレー

話は戻りますが離れた2箇所のFAXの回線をFAX設置場所の横に設置したボタン(押している間だけ出力する)を押すことで切り替える仕組みを構築することとなり、OMRONのラチェットリレーG4Q-212S (2021年現在現行品)を用意しました。
先輩に見せたところ、もっと小さいのがあるとのことで教えていただいたのが、松下電工のAR7221(HCSB-DC12V) (2001年11月廃番)でした
HCリレーのベースサイズに詰め込まれたギアは機能的で芸術的で魅せられてしましました

結局FAXは場所を固定することとなり切り替える話は無くなったしまいました
ただ、3路4路スイッチのように複数個所の押釦(モメンタリー出力:押している間だけ出力)からON/OFFする仕組みを構築するときに非常に重宝しました

ステッピングリレーが廃番となって

2001年に松下電工のステッピングリレーが廃番となりました。
世の中の需要が少なかったようなのです
しばらくの間は、秋葉原の部品店などで流通在庫を手に入れることができていましたが、今ではもう手に入れるのは困難と思われます。

当時、松下電工のリレー担当の方に電話で問い合わせましたがもう金型も廃棄してしまっているので再び生産することはできない旨の返事をいただきました。

フリップフロップIC 松下電工 VSユニットAGC1213 VS5-24V (2010年8月廃番)

まだステッピングリレーを使う場面がありましたので、松下電工のVSユニット AGC1213 VS5-24V(フリップフロップ回路内臓IC)とDS 2線巻ラッチングリレーを組み合わせて使用していました
使い勝手はステッピングリレーと同じで、押釦を押してパルス電圧をICに印加するごとにステッピング動作し接点がON->OFF->ON->と切り替わります。
2極以上のラッチングリレーを使用しそのうち1接点をフリップフロップICに現在の接点状態を通知(アンサーバンク)することによって、パルス電圧の入力があった場合に現在の接点状態を瞬時に判別し確実にステッピング動作し出力状態を切り替えます
ですので待機時の電源不要はです。
逆起電圧(リレーコイルのサージ)保護ダイオードもICに内蔵されていて非常に簡便です。(「リレーコイルの逆起吸収用ダイオードを内蔵しています」と明記)

松下電工AGC1213は2010年8月に廃番、パナソニックのDS2線巻ラッチングリレー(2C接点のみ)2021年9月で廃番となってしまいました。

フリップフロップIC AGC1213 と DS 2線巻ラッチングリレー AG252444 松坂精電舎製? 廃番品

実はこちらのほうがさらにコンパクトに構成できるので重宝していました。
残してほしかったですね

AGC1213 カタログ (2010年8月廃番)
ステッピングリレーの後継はPLCを使用

パナソニックの案内としては、この後継はPLCを使用してほしいとのことでした
プログラムで多彩なことができるのは良いのですが、ステッピング機能のみほしい場合には非常に大きくなりますよね。
電源を入れてから起動に時間が必要ですので、ステッピングリレーと違い待機時にも常に電源を入れておく必要があります。
世の流れでしょうか
「ステッピングリレー 2段動作 置換え」で検索するとパナソニックのサイトでパナソニックのPLC用のラダーのサンプル例が出て来ます

IDEC(和泉電気) スマートリレーを使用する

私はPLCで使われるラダーがさっぱりわかりませんので、複雑な事をする場合はPLCの代わりに専らファンクションブロックの使える
IDECのFL1F-H12RCE ¥18,500(専用ソフトWindLGC 別売り¥6,860)(DC12VかDC24Vの電源とWINDOWSのPCとLANケーブルが別途必要)を使用しています。

IDEC WindLGC V8.2 でフリップフロップ回路の作成例

プログラミングの知識がなくてもブロック遊び感覚でプログラムが組めて、ソフト上でシミュレーションできます
(ソフトはラダー入力もできます)

松本無線パーツ岩国 スイッチ操作リレーユニット(TK-1800A) (現行品)

アナログな私はいろいろと既製品を探しましたが、松本無線パーツ岩国の スイッチ操作リレーユニット(TK-1800A)が停電時でも信号を保持してくれて使用できそうですが、別途常時電源も必要なようなので実際に使えるのかは確認が必要です。
sasukedog.hatenablog.jp


【番外編1】エーモン工業フリップフロップリレー ITEM NO.1587 (廃番品)

番外編にはなりますがエーモン工業からも似たような車向けのリレーが発売されていました(現在は廃番)
車のACCなどの常時電源が必要でスイッチの入力信号が入るたびに出力がON->OFF->を繰り返し、メイン電源が切れると出力が初期状態に戻るものだったようです
こちらは電源が切れると状態が元に戻るので私の使用用途には合わないものでしたが、
車では車内照明やバックフォグランプやバックモニターの切り替えに使用することもあるようで、リセットされたほうが都合が良い場面が多いようです
同等品がアマゾンやヤフオクなどで出品されているようです

【番外編2】汎用ロジックICを使用して自作する TC4013BP TC4027BP CMOS-IC

自作が得意ならICを買ってきて作成するのも可能です

「気の迷い 迷い箱 車の室内灯を前と後から操作する回路を作っても動きません」の記事(2009年前半)は素人の私にはとても参考になり何度も読み返しました。気の迷い様のサイト内で「フリップフロップ」と検索すると興味をそそる様々な記事が出てきます

また、「フリップフロップの回路 技術の森 TC4013BP」で検索、もしくは画像検索するとこちらも参考になる記事が出て来ます
フリップフロップリレーの作成」で検索してもいろいろな記事が出て来ます

TCと頭につくのは東芝製、SNと頭につくのはテキサスインスツルメンツ製です。
TC4027BPも廃番予定のようですので汎用品といえどもいつまで作ってくださるのかはわからないです

こちらも基本的には常時電源が必要で、電源が切れればリセットされるように設計するようです。

私はまだ作成したことはありません。いつか時間ができたら楽しみたいと思います

HCステッピングリレー 松下電工 HCSB-DC12V AR7221とは (2001年11月廃番)

モメンタリースイッチを用いてオルタネイト出力をするリレーとなります

単純にオルタネイト動作をさせたいだけなら、メカ式に状態を保持するオルタネイトスイッチ(押したらスイッチがカチッと言って押し込まれたままの状態となり、もう一度スイッチを押すと押されていない状態に戻る)を使用すればよいのですが、例えば在室表示灯のように数か所から表示灯をON/OFFさせたい場合などにモメンタリースイッチとステッピングリレーを組み合わせると電子回路やPLCなど使用せずとも簡単に組むことができます

販売時期

AR7***の代表的な品番のものの販売時期は
1975年12月1日から2001年11月30日で、すでに廃番となっています

当時のラインナップ

制御 カタログより

私は主にDC12Vの2段動作(AR7221)もしくはDC24Vの2段動作(AR7222)を使用していました

外観

ステッピングリレー外観 右は旧型

左の写真を見ると

左側リレーの表記は
 NAiS
 AR7222
 HCSB-DC24V
 5A100VAC
 MADE IN JAPAN
     00710

右側リレーの表記は
 MATSUSITA
 AR7221
 HCSB-DC12V
 5A100VAC
 MADE IN JAPAN
     80304

となっています。製造時期でロゴとコイルのフィルムカバーが違っているようです
最後の数字が製造時期ではないかと思いますが、読み方がわからないです
仮に00710が2000年7月10日と読むのであれば
80304は78年か88年か98年なのかわからないですね

真ん中の写真はコイル側正面からのものです
右側のリレーにはコイルのフィルムにDC12Vの表記があります。
またどちらにも2段動作であることを表す「2」という文字もあります

右側の写真で、品番などが書かれていた裏側のカバーに何も書かれていません

HCステッピングリレー 底面

左の写真は、接点部分と上面が見えています
上面中央には小さなくぼみがあり、バネ型のソケット保持金具が滑らないよにはまり込みます

中央の写真は底面を横から見ています
内部のフレームを止めるためのねじが飛び出てきています。最近のリレーはねじが飛び出ていないか、ねじ自体が無いものが多いですね。ソケット側はねじの部分に丸い穴をあけて対応しているようです。

右の写真は端子部分が写っています
よく見る4極リレーでは端子が4列でNO端子NC端子COM端子の3つ並んでいますが、2つしか並んでおらず3つ目は埋められています

リレーをソケットにさした状態

リレーをソケットに刺した状態 

写真はリレー盤から取り外した状態となりますので接続されていた配線が残っています
左の写真はリレーを端子台にさし込み、バネ状の保持金具を取り付けています。コイル側が見えています
ソケット端子台のコイル入力端子には逆起電圧保護ダイオードを接続しています
右の写真は接点出力側が見えています
違う状態の2接点を使用して電圧を送っていたようです

HC4極リレーと比べてみる

HC4極リレーとHCステッピングリレーを比べてみます

写真内の左側がHC4極リレー、右側がHCステッピングリレーです
 
左の写真で高さが違うことがわかります、
太さは同じなのですが、高さがステッピングリレーのほうが10mmほど高いです

右の写真は端子の部分です
ステッピングリレーのほうが端子が少ないのがわかります。またねじが飛び出ています。

カバーを外してみる

カバーを外してみますとよりよく内部を見ることができます
※カバーは外さないでくださいね

動作



一番手前の接点部分に注目しますと
左の写真は接点がくっついています
中央の写真は通電して電磁石の力で鉄板が吸着しているイメージで、紙を挟んでいます。
この時に一番手前の接点は開いています
右の写真では紙を抜くと接点は開いたままとなっています

通電することによって上部の黒い部分が写真から見て左に倒れギアを回し(直線運動を回転運動に変換しています)、通電が切れるとバネの力で黒い部分は右に戻りギアをロックします

電気特性

接点は4a接点とありますが、2ステップ型は4つの電極のうち交互にONとOFFが2接点ずつあります
定格制御容量はAC100V5A、DC30V5Aとあります

動作時のコイルの消費電流ですが、DC12V時は109.2mA、DC24V時は54.6mAとあり
HC4極リレーより消費電流は多いようです

ラチェットリレー オムロン G4Q-212S DC12V とは

松下電工のHCステッピングリレーと同様にモメンタリースイッチを用いてオルタネイト出力をするリレーとなります

パルスごとに2接の各接点が交互に切り替え動作を行います。と商品説明に書いてあります
オムロン独自のラチェット機構の採用により接点を切り替えます

販売時期

2021年8月現在現行品です
G4Qシリーズの前身としてMR2Pシリーズがあったようですが1983年3月に廃番となっています

類似商品

オムロンの中で似たような商品があります

ステッピングリレー
 形G9Bシリーズ
 動作:6ステップ、12ステップ。
 電源:DC24V、AC100V、AC200V

ポンプ制御用 交互運転リレー
 ラチェットリレー形G4Qと同様の動きをする電子リレー
 形F61-AN
 形F61-APN2
 電源:AC100,AC200V

外観

G4Q-212S の側面

左側の写真は、側面に品番と回路図が書いています

 OmRON
 G4Q-212S
と書いてあります

中央の写真はカムが2接点のうちの1つの接点を押し上げています
黄色と赤色の導通が出ています
コイルはDC12Vと書かれたテープで巻かれています

右側の写真でもう一つの接点は板バネの力で下がっています
中央の写真と接点の上がり下がりは違うものの
黄色と赤色の導通が出ています

G4Q-212Sのギア面・上面・底面

左側の写真はギアが写っています
通電すると白い爪が電磁石によって下に引き寄せられて、黒い軸を押し廻します
軸の両側にあるカムが2つの接点を操作しますが、両方が同時にONになるわけではなくて、片方ずつONになり、負荷のバランスを取っているようです。
上の写真にあるように接点の取り方を逆にして出力は同じになるように工夫されています

ソケット 8PFA に取り付けてみる

8PFAを取り付ける

8ピン対応のソケットに取り付ける事ができます
ソケットは35mmのDINレールかネジ止めで固定することができます

電気特性ほか

接点は2C接点です
定格負荷は抵抗負荷でAC220V 5A、DC24V 5Aとあります

動作時のコイルの消費電流は、DC12V時は320mA、DC24V時は155mAとあります

コイルの定格電圧はDC12V、24V、48V、100V、200V
AC12V、24V、50V、100V、200Vがあります

大きさ
ケース入りの場合で品番表示面を正面とした場合
縦71.5mm 横63.5mm 高さ80mm (突起部とソケット含まず)です

松下電工 HCステッピングリレーと オムロン ラチェットリレーを並べてみる

HCステッピングリレーとラチェットリレーを並べてみる

機能的にはほぼ同じですが、大きさは親子ほど違います

HCステッピングリレーとラチェットリレーを並べてみる

ソケットの長手方向は、若干違う程度です
幅は2倍違います

最後に

リレーにも特殊な動作をするものがあります
企業である以上は需要や販売数の少ないものは廃番にしてしまう事も仕方のないことかもしれませんが
残してほしいものも多々ありますね
各社いろいろな構造のものがあり、技術とアイディアに脱帽です
今回の記事を書くにあたり、再度ステッピングリレーについて勉強し素晴らしさを再確認いたしました

最後までご覧いただきありがとうございます

2021年7月26日 下書きはじめ
2021年8月15日 初版

2021/08/15/011000

sasukedog.hatenablog.jp