- 家庭用通報機 VJ-555Cとは
- 埋込取付ユニット VL-901M/3
- VJ-555Cを開けてみる
- 動作を見てみる
- VJ-555Cのカタログ
- 後継機は?
- おまけ
- アダプターアンプ VB-3412F-B を見てみる
- 最後に
家庭用通報機 VJ-555Cとは
松下電器(松下通信工業)の家庭用通報機になります
すでに廃番となっています
非常釦・火災感知器・ガス警報器・防犯(3系統)・予備(2系統)が接続できるようです
アナログ電話回線に接続して異常時にあらかじめ登録した通報先に音声通報ができます
詳細はわかりません
このころ(1990年代)流行したHA(ホームオートメーション)ユニットサイズで松下通信工業の自主規格の大きさになっています
中身の外形は横195mm 縦250mm 深さ49mmです
埋込取付ユニット VL-901M/3 に取りつけて使用します
この時に大きさは横235mm 縦250mmとなります
見た目をそろえた同じHAシリーズの機器を追加して機能を追加することができます
この時には埋込取付ユニットを見合ったサイズに変更します
表面には非常押釦・火災報知表示・ガス報知表示・防犯表示 兼 押ボタン×3回路・予備報知表示・マイク・警報音停止ボタン・オンライン表示 兼 押ボタン・通報表示
テンキー・スピーカ
予備電源表示・テストボタン・試験ボタン・交流電源ボタンがあります
埋込取付ユニット VL-901M/3
埋込取付ユニットは松下通信工業HAシリーズ専用の埋込金具だったようです
すでに廃番となっています
VL-901M/1~VL-901M/6 と入る機器のサイズによって種類があり、HAの様々な機器を組合わせて組込みして使用したようです
左から表面、裏面、ラベル表示
ラベルには、
品番 VL-901M/3
LOT NO. 012
松下電器産業株式会社
製造元 松下通信工業株式会社
日本製
とあります
既定の寸法で開口し、左右のカバーに隠れている4隅の穴で壁に枠を固定して
HAのユニットを上下の金属部分の穴で固定します。
VJ-555Cを開けてみる
VJ-555Cのパネルを開けてみる
薄い化粧パネルを下からマイナスドライバーでこじ開けると、中の機器が出て来ます。
表面には予備電源のの注意書き、設定スイッチの説明、が出て来ます
薄いパネルの裏には、機器の動作概要が書いてあります
VJ-555Cのユニットを開けてみる
ねじを緩めてユニットのパネルを開きます
左側の細い方と、右側の大きい方を開けます
取り外したパネルの裏側です
裏側は基盤を保護するプラスチック板が取り付けられています。
またベース基盤と接続するための無数のハーネスとコネクタが出ています
ドアホンの端子説明、ガス警報器信号の説明、火災信号の説明
防犯センサーの説明、接続できる火災感知器の説明、接続できるガス警報器の説明
24V仕様の煙感知器は接続できない説明
移報出力の説明、電源基盤の説明がされています
銘板ラベルには
品番 VJ-555C
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WAKO DENSHI-S
定格電圧 : AC100V
定格周波数 : 50/60Hz
定格消費電力 : 15VA
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GP型3級受信機
型名 VJ-555C
型式 AC100V
外部配線抵抗 10Ω
型式番号 受第4~17号
製造年 2001年3月
製造番号 01274
感知器回線 1回線(熱感知器)
検知器回線 1回線(有電圧/無電圧)
標準遅延時間 40秒
松下電器産業
とラベルにあります
右の写真にあるように、ユニット外面下にもラベルがありまして
VJ-555 セキュリティ端末装置
認定番号 S92-4041-0
製造年月 AC
松下通信工業株式会社
GP型3級受信機
型名 VJ-555
型式 AC100V
外部配線抵抗 10Ω
型式番号 受第4~17~1号
色:チャイミーホワイト
とあります。
パネル裏側のプラスチックパネルの下は
プラスチックパネルの下には、チップ部品が並んでいます
大きいほうの2段になった基盤を外してみると、今となっては大きなLSIやROMや汎用ロジックICが並んでいます
パターンは今の製品と違いまだ目で追える程度の太さがあり、両面基盤のようです
スピーカーは松下の 6P100SA 8Ω JAPAN とあります (Φ57mm)
ベースの端子台基盤
ベース部分には端子台と停電動作用バッテリーとメモリーバックアップ用と思われるバッテリーが載っています
筐体の裏には MADE IN JAPANの掘り込みがあります
基盤の裏にはチップ部品が並んでいます
内臓バッテリー
左は動作バックアップ用でDC12Vのバッテリーとなっています
右はメモリーバックアップ用と思われるDC6Vのバッテリーです
どちらもコネクタの形状は異なっています
抜き差ししたら硬かったためコネクタが基盤から外れてしまいパターンがはがれてしまいました。注意が必要です
動作を見てみる
電源を入れて、非常・防犯・予備入力を動作させてみる
入力は+コモンのようです。
- 12VCOM端子と非常端子をショートしてみると、警報音とともにLEDが点灯します
- 12VCOM端子と防犯3端子をショートして防犯の上から3番目のボタンを押すと警戒できたようです
- 12VCOM端子と予備2端子をショートすると予備のマークが点灯し警報音が鳴ります
オンラインボタン操作で防犯を警戒する
本来は防犯センサー(B接点)を接続するところのB1と+12VCOM端子を配線でショート、B2と+12VCOM端子を配線でショート、B3と+12VCOM端子を配線でショートした状態で、オンラインボタンを操作すると「プー」と音がして防犯のスイッチが3つとも赤点灯し、警戒状態となります。警戒状態になるともう一度オンラインボタンを押しても「プププ」と鳴りエラーとなります。
解除するには設定の暗証番号で設定した番号が必要となりますが、
「#」「暗証番号4桁」「米」を押して解除されたら「プー」と鳴ります。番号が間違っているとエラー音が「プププ」と鳴ります。
警報が鳴りますと通報が始まります。
初めて見た!4線式火災報知器入力を動作させてみる
私は初めて見るタイプで受信機に4つ端子があります
断線検知をするのに今どきですと、受信機は2端子で4芯で配線して終端抵抗に接続する思いますが、終端抵抗という概念が無く代わりに受信機に戻します
P1~P4の端子がありP1端子から感知器へ行きP2に戻る
P3端子から感知器へ行きP4に戻るという結線です
使用しない場合はP1とP2端子をジャンパー・P3とP4端子をジャンパー線で接続します
通常時はP1番端子とP3番端子がショートすれば火災報知します
内部回路はP1番端子が火災判定回路へP4番端子がマイナスへ、
P2とP3はそれぞれ断線検出回路へつながって居るのではないかと思いますが
全く理解できません
P2番端子とP3番端子間はデジタルテスターで導通は出ません
断線状態時にはP1番とP4番端子をショートすると火災報知します
火災入力端子を測定してみる
P1・P2番端子がジャンパー、P3・P4端子がジャンパーの通常監視状態です。この時のP1とP3間の電圧は11.5Vです
P1とP2のジャンパーを外しP1・P2間の電圧を測ると10.4Vです
P1とP2のジャンパーを外しP1・P3(P4)間の電圧を測ると11.6Vです
P1とP2のジャンパーを外しP2・P3(P4)間の電圧を測ると0Vです
P1とP2のジャンパーは接続状態でP3・P4のジャンパーを外してP3・P4間の電圧を測ると10.4Vです
P1とP2のジャンパーは接続状態でP3・P4のジャンパーを外してP1(P2)・P4間の電圧を測ると11.6Vです
VJ-555Cのカタログ
BZ1/BZ2端子には呼出音増設スピーカを接続することができるようです
BZとは書いてありますが、有電圧のサイレンなどが接続できるわけではなく、スピーカー用の音が流れるようです
非常ボタンを押したときにも音が出るのではないでしょうか
後継機は?
時代の流れと言いましょうか、防犯の需要はあるとは思いますが、警備会社にお願いする流れになっているのでしょうか。後継機と言えるようなものが私には見当たりません。
パナソニックの通報機WQNT103も無くなってしまったようです。
いざ停電時(不審者が電源を落とす可能性もある)でも動作するようにVJ-555Cには停電動作用のバッテリーが搭載されていました。
探してみるとホームテレホン接続やインターホン接続はありませんが、TAKEXに機器がありました。「SC-810X」と言うセキュリティ自動通報装置と「C-804」と言う警報制御盤を組み合わせて使う方法です。どちらもバッテリーバックアップがあるようです
また、一体型の装置では防犯コントローラとアナログ電話回線にもつなげられる警報制御盤で「RXT-750CTI」と言うのがあります
どちらも電話通報にはアナログ電話回線が必須のようです。火災感知器は断線検出は出来なさそうです。また、火災感知器の感知器ベースでの動作表示は出来ないと思われます(電圧がDC12Vのため)。
ガス警報器も有電圧の物は使えないのではないでしょうか。
上記の装置が使えそうだとしても、私では詳しいことはよくわかりませんし、接続や設定に関して専門知識も必要に感じますので専門会社での取替をお勧めします。
取替時にVJ-555Cは埋め込みですので、外した後の穴を隠す必要があります。
やはりVJ-555Cの優秀さが際立ちます!
おまけ
注意
設定方法のメモがありましたが何分古いもので、この通り設定できるのかわかりません。内容に誤りがある場合もありますのでご容赦ください。
お問い合わせいただいてもお答えできませんのでご了承ください。
何らかの損害や被害や機器が壊れたなどがありましても補償できません。
設定スイッチを入れる前に!
パネルの中央下の隙間にマイナスドライバーを差し込んでこじると表面パネルが外れます、右上にあるプリセットスイッチの1をONすると設定モードに入りますが、何もせずにOFFにしたとしても、必ず設定モード終了時に作動開始の試験通報が始まります。電源を入れた時や復電した時も同様です。私には止め方がわかりませんので、設定スイッチをONする前に通報先の人に連絡を入れてください。通報先は2件まで設定できます。
通報内容は「録音メッセージ+作動しました。」です。ここまで聞かずに電話を切ると、再度電話がかかってきます。
プリセットスイッチ1と2
プリセットスイッチ1をONにすると設定モードに入ります。
OFFにすると運用モードに戻ります。
プリセットスイッチ2をONにすると設定内容のバックアップを行います。
後に説明する設定のいずれかが入っていないと、「オンライン」ボタンの赤LEDが点滅します。
すでに説明しましたが、設定モードから通常モードに戻すと試験通報を行いますので、ご注意ください。
設定項目
1,回線種別 10:ダイヤル10pps 20:ダイヤル20pps 30:プッシュ
2,暗証番号 4桁でオンラインモード解除時に使用する暗証番号を設定します
3,通報モード 1:1ケ所のみに通報 0:2ケ所ともに通報
4,第1通報先電話番号 最大16桁 #で3秒ポーズ
5,第2通報先電話番号 最大16桁 #で3秒ポーズ
6,通報メッセージ録音
ポーズは構内交換機などで0発信などの場合に「0#」などと入れて使用します。(ただし交換機に極性反転信号が必要です)
設定方法
操作上の注意:何かしゃべっている間はコマンドを受け付けませんのでしゃべり終わるまでお待ちください。
また、ボタン操作はゆっくり入れてください。早いとついていけません。
ボタン操作の「#」で設定項目が前進します。
「米」で設定項目が後退しますが「米」の使用はお勧めしません。
「米#」で現在設定中の項目のみの設定内容の削除です。
設定スイッチ1をONします。(オンラインが赤点滅します)
待機状態ですので#を押します
「いち」が聞こえて、回線種別の設定状態となります。
10:ダイヤル10pps 20:ダイヤル20pps 30:プッシュ回線
なのでプッシュ回線であれば「30#」と押します。
待機状態ですので#を押します
「にぃ」が聞こえて、防犯通報モードから解除する暗証番号の設定となります。
4ケタの暗証番号1234であれば「1234#」と押します。
補足:「オンライン」ボタンを押すと通報する防犯警戒状態になりますが、解除するには「#4桁の暗証番号※」と押す必要があります。
待機状態ですので#を押します
「さん」が聞こえて、通報方式の設定となります。
0:2か所ともに通報 1:どちらか1か所に通報となります。
2か所ともに通報するのであれば「0#」と押します。
待機状態ですので#を押します
「よん」が聞こえて、通報先1の設定となります。
「通報先1電話番号#」と押します。
削除する場合は「米#」と押します。
待機状態ですので#を押します
「ご」が聞こえて、通報先2の設定となります。
「通報先2電話番号#」と押します。
削除する場合は「米#」と押します。
待機状態ですので#を押します
「ろく」が聞こえて、通報時に自動再生される通報メッセージの設定となります。
すでに録音されているものがあれば勝手に再生が始まります。
再生中はボタン操作を受け付けません。
「1」と押します。「ピー」音が鳴り録音が始まりますので通報元の情報などを吹き込みます。最大15秒で最大時間が経過したら「ピー」音が鳴りますので、鳴り終わるのを待ち「#」を押します。
15秒の経過を待たずに言い終わったら「#」を押せばその時点で録音終了となり通報時の余分な空白の時間が無くなります。
待機状態となります。
この状態で「6米」と押すと、録音されたメッセージが再生されます。
録音をやり直したいときには「#」をゆっくりとした間隔で何度も押して「ろく」と聞こえたら録音し直します。
「米」を押すと設定項目が後戻りしますがわけわからなくなるので「#」のみを使用することをお勧めします。
設定内容の確認
上記で待機モードと書いている状態時に
「確認したい番号・米」と押すと設定内容をしゃべります。
通報先1を確認したい場合は「4米」と押すと設定内容をしゃべります。
待機モードが良くわからないという事であれば、スイッチ1をONにして設定モードに入った時の状態で「4米」などを押すと確認できます。
設定モードの終了
スイッチ1をOFFにします。
設定内容を停電時もバックアップするために、スイッチ2をONします。
設定がうまくいっていれば、試験通報が始まります。
録音していないなど内容に不備があれば「オンライン」灯が点滅し通報は始まりません。再度設定を行ってください。
パネルを戻します。
通報メッセージ
非常ボタン押下 「緊急事態発生・緊急事態発生」
ガス警報 「ガス漏れです・ガス漏れです」
火災警報 「火事です・火事です」
防犯警報 「戸が開いています・戸が開いています」
予備入力 「緊急事態発生・緊急事態発生」設定による?
通報中は通報灯が点灯します。
通報がうまくいかないと
通報先とつながらない・通報先の人がきちんと最後までメッセージを聴かない場合、電話が切れた後に通報待機中となり通報ランプが点滅状態となり、再度メッセージの通報が始まります。
1回目の通報がうまくいかないと、15秒後に2回目の通報、また15秒後に3回目の通報、3分休んだ後に4回目の通報、15秒後に5回目の通報、15秒後に6回目の通報、3分休んだ後に7回目の通報、15秒後に8回目の通報、15秒後に9回目の通報が始まります。
これ以上は確認していません。
途中で止める方法はわかりません。
内線に接続すると通報できない?
内線やフリーダイヤルなど極性反転信号(通話料課金信号)が出ない回線に接続するとメッセージが流れず正常に通報できないと思われます。そして「通報がうまくいかないと」の状態になります。
建物が離れていても通話料金がかからない内線への接続も同様にダメと思います。
どうしても、内線に接続する場合はTAKEXのSC-810X(OMRON K5Sベース(廃番)のタカコム?着信判定パターンAに設定。通報先着信判定AとBについてはK5Sの説明書(P.5-8)の方が詳しい)やタカコムのADS-100(B-7をON)やTAKEXのSC-25Tなど設定変更で内線接続も工夫してできるようにしてあるものに取り換えるのが良さそうです。
ただし、通報以外の機能に不足があるので総合的にほかの装置も組み合わせての置換えができるのか検討が必要となります。
(外線もですが、よくある内線通報先であっても110番や119番は設定できません)
留守番電話などに接続された場合でも通報したとみなされると思われます。これについては「0」ボタンを押すことにより本人確認できるようにする設定のできるSC-810Xがお勧めではないでしょうか。
これらはアナログ電話回線への接続が前提ですが、ピンク電話回線の場合、簡略して言うと通話料金を10円課金するたびに極性反転が起こるので、TAKEXのSC-810Xの極性反転を無視する「着信判定パターンC」で対応できるのではと思います。違うかな?
TAKEXのRXT-750CTIにつきましては説明書を検索しても出てこないので詳しいことがわかりません。
アダプターアンプ VB-3412F-B を見てみる
VJ-555Cの機能を補うために、VB-3412Fを使用している場面もあるようです。VJ-555Cでは警報時に外部への音響スピーカーを接続する端子があるものの、警報ベルなどを接続することができないようです。この音響スピーカー接続端子で警報音が鳴ったものを感知して接点出力する装置のようで、ベルが鳴らせられるようにDC15Vをするように改造されているように見えます。
内部を見てみる
開いてみると蓋側にスピーカーがあります
松下のEAS-8P13S 8Ω JAPAN
と書いてあり SSと言う文字とともに謎のマークがあります。
基盤上のリレーには出力に電圧を印加するような変更がされているように見えます。
内部に15Vの3端子レギュレータがあるので、出力は15Vとなっています。
最後に
多彩な機能を持つ家庭用通報機でした
ほかにもインターホン端子・ホームテレホン端子・カードリーダ端子・パッシブ端子など有りますがどのように接続するのか不明です
今現在においても、他社にはない家庭用ならではのオールインワンの便利な逸品だと思います
いいものを見させていただきました
お付き合いありがとうございました