さすけ のインターホン ブログ

趣味のインターホンに関することを中心に書き綴って行きます

アイホンの集合玄関システム(1980年代) VCM-30M-EL を開けてみる

アイホンの集合玄関機 VCM-30M-EL とは

現在よく見るテンキー方式のものではなく、ダイレクトにつながる呼び出しボタンが30個ついています
古い集合住宅で見かけることがあります
また、動くのかはわかりませんが飲食店の入居しているビルなどでも見かけることがあります

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今回あけたものとは違うもの

戸建て用のドアホンのマイクスピーカーが1個で押釦が住居数分あるイメージでしょうか

おそらく1980年代の製品と思われますが、これだけ古いと手元に資料が無く、VCMシリーズに何回線のものがあったなどわかりません
ただ、多回線ものもの制作できたのではないかと思われます

パネル側外観

 呼び出しボタンが取り付けてあるパネルと、端子台・電源・電気錠基盤のついたベースに分かれており、その間は多芯ケーブルで接続されています

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パネル表面の右側手にはネームホルダーと共に黒色の押釦が並んでいます
その左横にはキースイッチの取付穴、マイク孔、スピーカーのスリットが開いています
裏側は箱状になっており、押釦を押したのを保持するであろう基盤や通話する基盤などが収納されています
太いケーブルの先にはコネクタがついており、端子台のついている基台と接続します

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押釦の銘板のところには番号が入っており左上から1番回路で上から下に行き、右下が30番回路のようです
マンションなどだと下から若い番号を割り振ったりすると思うので、先に部屋を窓に割り付けて接続する箇所を決めたのかなと思われます

開けてみる

蓋を開けると盤面側には大きな基盤が6枚あり、5回路ごとに回路が組まれているようです


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マイクに8Ωのスピーカーとアルプス電気の押釦が取り付けられています


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蓋の裏側には集合玄関機との通話を制御するであろう基盤が取り付けてあります
箱の外から音量調整ができるように配置を工夫してあります
上のほうには端子台と接続するハーネスとの接続用基盤があります

端子台基台

設置されている状況でパネルを外すと出てくるのが端子台基台です

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すっきりとした板に端子台・電源・電気錠用基盤が取り付けられています
このままの状態で特にカバーなどがあるようではなさそうです

銘板には

MODEL VCM-30M-EL
LOT NO.900588Z
〒 アイホンのロゴ
定格電圧 100V
定格周波数 50/60HZ
定格消費電力 10W(最大)5W(待受時)
アイホン株式会社

とあります

コネクタ・端子台

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パネル側との接続コネクタがあります。コネクタで分離できるようになっており施工性が良いです
コネクタはアンフェノールとかセントロニクスとか呼ばれるフルピッチ50Pです
その昔パソコンのSCSI方式ハードディスク接続などで使われていましたよね

端子台には1~30の個別端子台と「+」「ー」の電源端子があります
配線の跡から見ると+は使われていなかったようですが、直流電源で作動する室内親機がラインナップにあったのかもしれません

電源トランスに整流・平滑用の基盤があります

電気錠基盤

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電気錠基盤は独立してあります
各住居内の親機の解錠接点信号をひとまとめにしたものを入力して、タイマー時間接点を電気錠制御盤や自動ドアに出力します
左の2端子が住居からの入力、右の2端子がタイマー出力、真ん中はよくわかりません
出力時にはパネル表面のLEDが点灯するようです

住居親機と接続する

住居親機 IC-2ATD と子機 ID-DA と接続してみます

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住居親機の1・2端子と同じくもう1組1・2端子がありますので、片方の1・2にID-DAを接続し、もう片方の1・2に集合玄関の「1」と「ー」を接続します
集合玄関もIC-2ATDから見れば子機の扱いとなります

電圧を測定してみる

IC-2ATDとID-DAの接続を測定してみます

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待機時は5.6V 通話時は9.5Vでした

IC-2ATDと集合玄関の接続を測定してみます

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待機時は4.6V 通話時は9.2Vでした

最後に

集合玄関システムの原点に近いものを見させていただきました
オートロックにも対応しています
非常にシンプルかつ耐久性もよくまだまだ動きそうに見えます
最近のものほど壊れやすいと思うのは気のせいでしょうか
いいものを見させていただきました