- はじめに
- 状況
- 漏電電流の測定
- 原因調査
- 【実験】市販のACアダプタのACとDC間の絶縁を見てみよう
- リーククランプメーターを買ってみた
- 絶縁型と非絶縁型のACアダプター
- 後日持参したところ
- さいごに
- 追伸
はじめに
みなさまいかがお過ごしでしょうか?今日はクリスマスです。
ラジオからは山下達郎のクリスマスイブやポールマッカートニーのワンダフルクリスマスタイムやグローブのディパーチャーズや松任谷由美の恋人がサンタクロースなどのクリスマスソングがヘビーローテーションで流れております
ここ最近は1月以上休みなく働いておりましたが、クリスマスでやっとお休みとなりました。
クリスマスと言えば、きらびやかな電飾を飾るところも多いと思います。
かつて私も学生時代に学園祭では樹木や、校内に架かる橋に電飾を施しました。
あの頃はガラスでできた麦球が使用されていて、落としたり踏んだりすると電球が割れたものです。一部の電飾は経費節減の為、豆球のソケットと豆電球や点滅球を買ってきて自作も致しました。
今現在の光源はLEDを使用しており、ACプラグから電飾に行く途中にスイッチング電源がモールドされていて消費電力も少なくなっているようです。
今回は今年初めて電飾をした現場から雨が降ったら漏電で電飾が接続されている漏電ブレーカーが入らないが原因が良くわからないという事で、伺わさせていただきました。
状況
普段は電飾はされていませんが、この冬初めて屋外に電飾をされたようです。
電飾のための電源は電気屋さんが仮設して、電飾は電飾担当の方がデザインして飾り付けて行ったようです。
電気を送っているブレーカーは20Aのもので、その主幹には定格電流40Aで30mA(0.030A)の漏電でトリップ(ブレーカーが異常を検知して電気を遮断して停電すること)する漏電ブレーカーが設置されています
電飾のコンセント部分にはビニールをかぶせてあり雨が降ってもプラグは濡れないようになってはいます。
電飾自体は木に飾り付けていたり、建物の間にワイヤーを張って電飾を建物間に張っているところもあります。
今回問題となったのは、芝生の上に並べた電飾が接続されたブレーカーで、雨が降った時にブレーカーがトリップしてしまいました。
漏電電流の測定
漏電を調べるには絶縁抵抗計(メガテスター)や漏れ電流測定用クランプメーター(リーククランプ)などを使うようです。
測定物を接続した状態で測定するには、リーククランプを使用する方が調査しやすそうです
本来クランプメーターは、使用する機器に接続している電線2本のうち1本をクランプすることで流れている電流値を測定することのできる機器ですが、2本ともクランプするとクランプした先で漏れ出した電流値を知ることができます。
共立電気計器株式会社のホームページにて、お客様サポート>測定豆知識>クランプメータ測定ガイドの5.クランプメータの機能と使用方法(4)漏れ電流測定についてが参考になりました。
共立電気計器で言うと被対象物の状況にもよりますが、2431・2432・2433Rあたりになるのではないでしょうか。
原因調査
行った時には雨は降っていなかったもののブレーカーは入らない状態でした。ただ、地面は雨が降った時の状態のままです。
原因となっているブレーカーに接続されている全てのコンセントから電飾を抜いて、クランプメーターで漏電電流を測定しました。
本来はリーククランプメーター (Leakage Current Clamp Tester)を使うべきですが、手元にありませんでしたのでUNI-T UT210Eと言う、最大2Aを測定できるレンジに合わせると0.001Aを表示できるクランプメーターを使用しました。
このクランプメーター自体は最大100Aまで表示できます。
UT210Eは仕組み上、漏れ電流を表示をすることはできるのですが、分電盤内でクランプしても周りの電線の影響を受けるのか、クランプの位置を動かすと微妙に数値が変化してしまいどれが本当の数値なのか判断がむつかしいところです。やはりしっかりとしたリーククランプメータが欲しいところです。
話は戻って、すべてのコンセントから電飾のプラグを抜いた状態では、漏れ電流値は0を示しています。
電飾を1つ差し込むと0.001Aを示します。さらにもう一つ差し込むと0.002Aを示します。中には漏れ電流が増えないものもありましたがこれは電飾の種類が違うものです。芝生の電飾を差し込むたびに増えていき0.035Aを超えたところで差し込むと、漏電ブレーカーがトリップするとともに異常の黄色い表示が出ました。
電流値は10数アンペアだったようです。
電飾自体は屋外に対応したもので、電飾部分を延長できるようになっています。延長コネクタには防水パッキンも入っているもので問題ないように見えます。ただ、わずかに漏電はしているのではないかと思われます。
作業しているうちに晴れて地面から水が引いていくと漏電の値も下がっていきました。
地面で冠水してしまう環境での使用に問題が無いのか確認が必要と思います。
【実験】市販のACアダプタのACとDC間の絶縁を見てみよう
電飾に使用されているものではありませんが、ACアダプタのACプラグとDC側の絶縁が、実際にどうなっているのか測定してみました
ACアダプタを用意する
ACアダプタを2種類用意しました
写真の左はスイッチング電源式でDC12V 2A出力できる能力があります。
写真の右はトランス式でDC12V 0.4A出力できる能力があります。
トランス式の方が大きさも大きくて重たいですが、供給できる電流は少ないです。
個人的にはトランス式の方が好きです。比較的寿命が長くて発生するノイズが少ないと思っています。
余談、ACプラグ間の抵抗を測定してみる
漏電とは直接関係はありませんが、ACプラグ間の抵抗を測定してみます。絶縁抵抗計を使用するとACアダプタを壊す恐れがあると感じたので、テスターで測定してみます。
写真左はスイッチング電源式です。O.F.(オーバーフロー)表示となり絶縁されているようです。
写真右はトランス式で、33.6Ωを示しています。トランスですので巻き線の抵抗を測定していますから、このくらいの抵抗値で良いのだと思います。
私は過去に失敗があり、OFFにしたブレーカーの線間抵抗を通常のテスターで測定して170Ω位が表示されて絶縁が悪いと勘違いして色々探した結果、浄化槽のブロアのモーターが接続されていたことがあります。モーターやトランスが接続されていると低い抵抗値が測定されます。
絶縁抵抗を測定してみる
左の写真はスイッチング電源式のACアダプタです。
AC入力部分とDC出力部分の絶縁を測定してみました。
このACアダプタでは100Vレンジでの測定はオーバーレンジで絶縁されているという結果でした。写真にはありませんが500Vレンジでの測定でも、オーバーレンジの結果でした。
写真右のトランス式のACアダプタで試験してみましたが、こちらもオーバーレンジの結果となりました。
今回試験したACアダプタではACとDC間は絶縁されています。
AC/DCアダプタには絶縁型と非絶縁型があるようです。実際の電飾に使用されているACアダプタの性能や電飾部分との絶縁がどのようになっているのかはわかりません。
2023年1月4日追記↓
リーククランプメーターを買ってみた
中古ではありますが、リーククランプメータを買ってみました。
第一印象はでかい重いですw。しっかりした造りで、電源を入れると0.00mAが表示されます。UNI-Tのクランプメータとは違い0表示ボタンは無いようです。
試しにいろいろな器具を測定してみましたら、0.00mAの物がほとんどでした。
0.10mAなど表示される機器もありました。ただ、室内ですし何んで漏電が測定されているのかはわからないです。今考えると、アース付きプラグで3ピンコードをクランプしたのでAC100VのLN以外にアース線も測定したことになります。測定の方法自体があっていたのか疑問が残りました。
分電盤内のでの測定も試みましたが、試みた分電盤がきっちり組んであり簡単にはクランプすることができませんでしたので、クランプメータを入れて挟むまではしませんでした。
また電飾をしているところへ行くことがあれば持参したいと思います
絶縁型と非絶縁型のACアダプター
漏れ電流値がACプラグの所とDCコンバータを過ぎたところで測定したものが同じですので、この電飾には非絶縁型のAC/DC電源を使用しており電飾部分に漏電が起きた時にそのままAC側に影響を及ぼしているのでしょうか?
絶縁型のAC/DCコンバータでは感電しない理由 - Electrical Information
後日持参したところ
一つの電飾につき約1mA漏電しており、30台まとまると30mAの漏電となってしまいます。
しっかりと漏電値がわかるリーククランプメーター最高です!そして、漏電ブレーカーもきっちり仕事していて頼りになります。
さてこの電飾どうすれば、、、、困った。
測定可能導体径:φ24
測定可能導体径:φ40
被測定導体径:φ40
I0R測定 (アイゼロアール測定) CT径:φ40
さいごに
電飾全体が地面に触れている状態で漏電もしやすくなっているのではないでしょうか。
どのように対策していくか頭の痛いところです。
電飾を見た人の喜ぶ姿や、子供さんが「キラキラ」と両手のひらを大きく開いて手首を左右に回転する様は見ていて微笑ましいものですね。
最後までご覧いただきありがとうございます。